なぜ本が読めないのか

なぜ本が読めないのか

本を読みたい!

学びたい知識があるから本を読みたい。

早速Amazonでポチったり、本屋で吟味して購入したところまでは気分が高まっているのだが・・・いざ家で本を読もうとすると何故か読めない。

その理由を真剣に考察していきたい。


1.いつから読めなくなったのか

僕はもともと本を読むことが好きな子供だった。

小さいときは百科事典が大好きで、いつも『21世紀こども百科」を読んでいた。

21世紀こども百科

未来のことについて書いてあるページを読んでは、当時では考えられないような快適で夢のような生活が待っているのだと期待に胸を膨らませていたが、今となっては当時の「未来」がずっと過去の出来事となってしまった。

小学生になってからも読書は好きで、毎日のように図書室へ行っては床に転がって本を読み、大好きな『ズッコケ三人組』をはじめとした小説を中心に本を借りまくり、学校で本の貸し出しランキングでトップ10には入るほどの読書愛好家だったのだ。

本を読むことは無条件に「良いこと」とされ、先生や親からもたくさん本を読んで偉いと褒められることで本を読みたいという気持ちはどんどん高まっていった。

中学生になってからは友達と遊ぶ時間や部活動の時間が増えたこともあって、小学生の頃より読書量が減ったものの、それでも頻繁に図書室へは通っていた。いかにもといった感じではあるが『バトルロワイヤル』といった刺激的なものや、科学に関するものなど、中2要素と理系要素を中心に読んでいた。


2.事件発生

高校生のある日。学校の試験期間前ということで、学校から帰ってきて自室にこもり勉強をしていた。

勉強が好きではない僕はすぐに誘惑に負けてしまう。まずは勉強しやすい環境作りが大切なので部屋の片付けをする。せっかく勉強に集中しても、肝心なに喉が乾いてしまってはいけないので飲み物も用意する。時間を忘れて勉強に没頭してしまい夜更かしをすると生活リズムが狂ってしまうので見やすいところに時計を置いておく。勉強が終わったらすぐに寝られるように布団も綺麗にセットしておく。

勉強をするための完璧な環境が整った。

早速、数学の問題集を解く始めるだが、他に何かやり残したことはないか、より勉強に集中するためには何が必要なのか。大事な試験期間前なので、少しでも集中力を上げて質の高い勉強をする必要があるのだ。

ここでカバンに『インディジョーンズ クリスタルスカルの王国』の本が入っていたことを思い出す。学校の図書館で借りてきて入れっぱなしになっていた本で、まだ最初の部分しか読んでいなかったのだ。内容が気になると勉強に集中できなくなってしまうし、勉強する環境作りで少し疲れてしまったこともあるので一旦読んでから問題集に戻ろう、そう思った。

ズッコケ三人組を読んでいた頃から冒険ものが好きなのでインディジョーンズは当時めちゃくちゃハマっていた。きっと小さい頃から非日常が好きだったのかもしれない。文量はそれなりにあったがスラスラ読み進め、クライマックスに差し掛かった。

ガチャ……

ドアが開くと母親がいた。

勉強をしていると思ったから声をかけないようにしていたが、たまたま見にきたら勉強ではなく読書をしていると怒られた。語彙力がないから「怒られた」としか表現できないが、このときの怒られ方は酷かった。

前回の試験で散々な結果となり、次回の試験で挽回すると約束していたこともあったためだろう。ちょっと息抜きで、などという定番の言い訳は瞬殺され、勉強に集中しやすい環境を作るために努力していた、という言葉も通用しなかった。

このとき、自分の中で読書の定義が「無条件に褒めてもらえるもの」から「無条件では褒めてもらえないもの」に変わった。そして、勉強をしていないことを咎められたことを、読書をしていたら怒られたらと、まるで読書が悪であるかのような理不尽な転嫁をすることで微々たる自己正当化を行った。

そんな小さな反抗をしなければならないほどちっぽけな僕は、もう二度と本など読むものかと心に誓った。

これ以降、自分から積極的に本を読む機会は著しく減少した。本を読む機会が減ったことで次第に活字を読むことが苦手になり、本や雑誌などの活字が羅列してあるものを読むことが難しくなっていった。

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