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蜘蛛型戦車コバモ #6

 僕はディスプレイに獲物の影が映らないか気にしつつも、突然響いたアナウンスが気になってしまって仕方ない。

「スキルゲージが、貯まった?」

 僕は先程までコバモのディスプレイに表示されていた見慣れないゲージがなくなっていることに気がつく。

「もしかして、あれがスキルゲージだったのかな。でもそれじゃあ、スキルポイントって何?」

 僕のそのフレーズが起動キーだったのか、コバモのディスプレイに突然現れる文字の羅列。

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 スキルポイント:1

 頭 スキルlv0 + -
 腹 スキルlv0 + -
 脚 スキルlv0 + -

 決定
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「コバモ、これがスキルなの?」

 コバモの肯定の意志が伝わってくる。

「3つのうち、どれかにスキルポイントを振って決定するのか。コバモはどれがオススメ? ……そう、コバモも、それはわかんないんだ。」

 僕はコバモの意思と話しながら考える。

(頭と腹と脚。これってどう考えても、コバモの体の部分だよね。理科の時間に習った気がする。確か、蜘蛛の体の名称が、頭胸部と腹部だったかな。脚は、たぶん歩くとこだけだよね。)

 僕はちらっと外の様子を伺う。
 追加のケンタウルスが出てくる様子はない。このスキルというものに、大いにひかれるものを感じる。
 ケンタウルスしかいないなら、今すぐに決めなくても大丈夫だろう、ゆっくり考えてからにした方が、と自分に言い聞かせる。しかし、結局好奇心に負けてしまう。

「えいっ」

 勢いに任せ、スキルポイントを割り振ると、決定ボタンを押す。すると画面が更新された。

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 スキルポイント:0

 頭 スキルlv1 + -
 →単眼 スキル lv0
 →鋏角 スキル lv0
 腹 スキルlv0 + -
 脚 スキルlv0 + -

 決定

 ▼
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「おおっ! 頭スキルにポイント振ったら、何か増えた。 えっと、単眼と、鋏角? 触肢、頭扱いかー。これって、もしかしてツリー状にどんどん増えていくのかな。大本にスキルポイントを振るか、どれかに特化していくか選べる感じするー。」

 画面を見ていた、僕はふと下に三角矢印があることに気がつく。そっと触れてみる。
 すると、画面が切り替わる。

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 ▲

 獲得アビリテイ

 頭部武装限定解除
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「画面が変わるんだ。これって、頭スキルがレベル1になったから獲得したってことかな。頭部武装限定解除……。どういうことだろう? 説明ほしい……」

 僕が画面を見ていると、コバモが画面を触るように伝えてくる。言われたままに操作すると、説明文が表示された。

「説明文、出た! コバモありがとね。何々……。そうか、そういう感じなのか……」

 僕は、そこまでで、いったんスキルとアビリテイのことを考えるのをやめて、駅の探索をすることにする。好奇心は尽きないけど、流石に皆のことも気になる。

「コバモ、お待たせ。いこっか。」

 僕はフットペダルと両手を操作し、ビルの壁面から一気に飛ぶ。
 落下途中でコバモの出糸突起から、糸を射出。
 ビルのガラス面に張り付いた糸を支えに、減速しながら地面に降り立つ。
 糸を切り離すと、駅の構内へと向かう。

 ケンタウルスたちが建物に開けた穴は、取り敢えず無視して、駅の階段を登っていく。
 地方都市の駅だけど、階段のある入り口は大きくて、コバモでも問題なく通れる。入ってすぐ右は駅ビルの入り口。お洒落なお店が立ち並んでいた。最近出来たばかりで、オープンしたときは学校のクラスでは、もう、その話題一色だった。

 そこは、ケンタウルスたちに破壊されたのか、見る影もないぐらい、ぐちゃぐちゃで、片付けずにそっちに入って行くのは難しそうだ。
 僕も何度も利用していた場所だったので、少し哀しくなりながら、そのまま通りすぎる。

 すぐに左手に改札が見えてくる。改札もぼろぼろになっている。何故か一つだけ無事の改札がある。それは、エラー音を鳴らしながら閉まりっぱなしになっていた。
 静かな改札に、そのエラー音だけが響く。
 僕とコバモは、そのまま改札は通らず、真っ直ぐに進む。

 修学旅行の集合場所だった、駅の反対側のロータリーまで、後少しだ。

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