NY Joyの子育てエッセイ<7> 屋外学習:NYの学校再開について
<PonoLipoのコーディネーターをずっとお願いしているNYに住むJoyの子育てエッセイ連載第7回。コロナ禍で大変なNYで、頑張るJoyを応援するお気持ちで、またご自身の英語学習のために、ぜひ彼女が書いた英文エッセイをご購読下さいませ。最後の有料部分を100円(税込)にて、英文エッセイをご覧いただけます。>
新型コロナの感染者数が、アメリカ全国で400万人を超えている現状でも、アメリカ政府は、この9月から休校している学校を再開するよう指示しています。ニューヨークの教育課は、ガイドラインを発行し、学校による再開の具体案を7月31日までに提示するように求めました。安全性についてが、最大の懸念です。生徒たち、教師陣、そして感染リスクのある家族の安全性が、保たれるのかどうか。
一つの方法として注目されているのが「屋外学習」という方法です。これは、1900年代初頭、結核が流行した時に実践され成果を上げた解決策です。ロードアイランドの二人のドクターによって実験的な屋外学習クラスが設けられたことに始ります。「エスキモー座布団」と呼ばれる温められた座布団に下半身を包むようにして座り、足の下にも温められた石が置かれ、子どもたちは、屋外で授業を受けたのです。誰一人として病気に罹りませんでした。その後2年のうちに、全国65校の学校で「屋外学習」が実践されました。ニューヨークでも2つの学校で実施されました。
この案を、この9月から始まる新学期に急に取り入れるのは、ちょっと性急すぎるのかもしれませんが、その実施を支援しようという動きが、教師と保護者の間に広がりつつあります。
まず、新鮮な空気を入れて換気されている場合には、新型コロナウィルスの感染の恐れが非常に低いということが、学術的に証明されています。ですから屋外での授業は、子どもたち先生たちが、帰宅するまで十分安全に過ごせることを意味します。更に、子どもにとって、屋外で学習することは、一般的に非常にとても効果的な方法であることが、研究の成果として出ているのです。特に4歳〜8歳の小さな子どもにとって、効果的だそうです。一日中屋外学習をする幼稚園などが、以前からメイン州やバーモント州に存在しています。学術的な調査では、そうした屋外学習が、子どもの学校での学習行動や標準テストの結果を押し上げるという成果が示されています。地域の教員組合の会長も、この案への支持を表明し、教師たちも、屋外学習を支持する書面を寄せ、ニューヨーク市の保護者3,000人以上の署名が集まっています。
最大の課題は、これらの屋外学習をどこで実施するのかということです。「屋外学習」は、公園や自然豊かな場所で実施されるとは限りません。屋上スペースや駐車場、運動場、そして大きな窓をもち十分な換気が保たれる建物であれば、それでも良いのです。通りの一部を区分けして利用しても構わないという意見もあります。ニューヨーク市では、すでにそうした公道の一部を区切って、レストランの食事スペースとして活用していたりするのです。
この「屋外学習」の試みは、様々な形態で試行錯誤を重ねて、今後の学校教育に大きな変化をもたらすことは、疑いのないところです。しかしながら、子どもを学校に任せて、自分の仕事を続けていけるという選択肢は、もうないものと、保護者は皆覚悟しています。アメリカでは、公教育の荒廃が、ずっと長い間進んで来ており、そのことがずっと大きな社会問題となっていました。この変化を、調査が示すような、子どもたちにとって最良の教育に変えていくためのチャレンジとしていければと思います。
ニューヨーク市の1900年代初頭の、不思議で楽しげな屋外学習についての記事と写真をご覧になって下さい。
https://www.nytimes.com/2020/07/17/nyregion/coronavirus-nyc-schools-reopening-outdoors.html
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