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ペーパーレス化が難しい保育の現場

私は保育士をしています。
今働いている園が、印刷物の量がとても多いので、先日園長にペーパーレス化について提案したところです。
しかし、今までの習慣を変えることは難しく、急に紙を無くすと言う考えには至りませんでした。

それは私も承知の上、想定内だったのですが、
理由として説明されたのが

“監査“のための書類印刷です。

保育園や幼稚園などの施設には、定期的に地域の役所から監査が入ります。
施設の環境を見たり、実際の保育の現場を見て危険箇所がないか確認したり、必要な書類、子どもの成長記録はきちんと書かれているか事細かにチェックされるわけです。

それの確認のために、保育日誌や週案、児童表、個別記録、全ての書類を、パソコンで作っているにも関わらず監査のために印刷、提出する必要があるのです。

私はとても矛盾を感じています。

なぜなら、昨今保育の現場の過酷さ、仕事量の多さなどが問題になり、教育現場への積極的なICT導入を進められてきました。
今まで紙ベースで全てをおこなってきた先生たちにとってはそれに対応することも大変な労力だったと思います。
しかし少しでも保育士の仕事量が改善されて、子どもたちとの時間が増えて余裕のある保育ができるならばと、前向きに導入を進めている所が多いと思います。

それにもかかわらず、区の検査が入るときは全ての書類を印刷してハンコを押して提出しなければならない。

ハンコが伝統工芸品になりつつある現代で、教育、保育の職場では日常で毎日のように、全ての書類にハンコが義務付けられています。

今まで私は、保育の現場が変わらないのは、現場で働いている私たちや、園長、主任たちの考え方が凝り固まっていて変化に対応できていないからだと思っていました。
しかし問題は現場だけではありませんでした。

日本の行政自体が時代に追いついていなかったのです。
いくら若い職員がアイディアを出したとしても、吸い上げられない原因が国のルールにありました。

子どもの権利、保護、自主性が重要視される中で、いつもそこで働く保育士の働き方、教育現場の仕事改善については後回しにされているように思います。
保育の現場もペーパーレス化しましょうと言っていながら、それとは全く逆のことを求められる現実もある。

いつも子どものこと、クラスのことを考えて働いている先生たちにとって、少しの労力でも毎日積み重なって大きなストレスとなります。
納得できないことを上からの命令だからと言う理由でしなければならないと言うことは誰もが苦痛と思うことです。

真面目にコツコツが得意な日本人だからできることなのかもしれません。

しかし、私は現状を変えたいと思います。
このやり方に慣れて無意味な仕事を黙々とこなしていても、近い将来保育の現場でも紙なんてほとんどなくなる時代はやってきます。

その時に「私はずっと前から思っていたけどね」と言い訳じみた言葉を言いたくないのです。
思っているなら発言する、自分でできることを常に実行する、そんな人間でありたいと思い、本当は怖がりでビビリな自分を奮い立たせてこれからも意見を言い続けます。

今本当に実感すること、それは

怒りは人の原動力になる

と言うことです。
それが良い方に働くか、悪い方に働くかは誰にもわかりません。
自分の主張を、自分の言葉で伝える力は、何もしなくては身につきません。
怒りを力任せに振り翳していては子どもと同じです。

私は自分の怒りをコントロールして、正しい形で“議論“していきたいと思います。

我慢することに慣れてしまった人たちをたくさん見てきましたが、我慢は時に恐ろしい怒りとなって爆発するかもしれません。時には、自分や、周りの人たちを傷つけます。

みんなが我慢しないことを習慣にして、議論が当たり前にできる環境を作っていきたいですね。

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