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精神障害者の私が歩みたいキャリア

テーマが「わたしのキャリア」ということで、私は障害者雇用で働く、「双極症」という精神障害を抱えた者として、今後歩みたいキャリアについて書いてみたいと思う。(多分)ケースとしては珍しいと思うので。


私はこれから歩みたいキャリアについて、3つの希望がある。

①障害者雇用で働く人間として、法定雇用率を上げるだけの存在ではなく、会社で必要とされる人間になりたい

②体調を崩したとしてもリカバリーしつつ働き続けたい

③今後、働く障害を持つ人のために、「障害者雇用で働く人」としての印象を良くしたい


順に書いていきたい。




①障害者雇用で働く人間として、法定雇用率を上げるだけの存在ではなく、会社で必要とされる人間になりたい



まず、「障害者雇用」という雇用形態についての説明をしたいと思う。

厚生労働省によって、各企業は障害者を一定のパーセンテージで雇用することが義務付けられている。そのパーセンテージを「法定雇用率」と呼ぶ。
企業の従業員数から法定雇用率から計算した人数を雇うことができなければ、罰金が科せられる。

法定雇用率を満たすための雇用形態を、一般的に「障害者雇用」と呼ぶ。私はそういった形で、契約社員として企業に勤めている。


端的に書くと、企業は障害者を一定数雇わなくてはいけない。そのための数合わせである。

まあそう書いてしまうと身も蓋もないのだが、実際そういうことである。


なので、正直障害者雇用で雇われた人の労働状況はあまり良くないことが多い。

・企業側がどう仕事を割り振ればいいのか分からず、まったく仕事を与えてもらえない
・逆に配慮を一切されず一般の人と同じように仕事を割り振られその負担で体調を崩してしまう
・シュレッダー掛けなどの簡単な業務しか割り振られず能力を活かすことができない
・人間関係から切り離され孤立したまま業務を行う

などなど。

まあ、一般的にモラルハラスメントと判断される可能性が高いような状況の人も多い。


その中で考えると、私はずいぶんと恵まれている。

業務の指示は社内メールで行ってもらい、毎日ある程度のルーティン業務がある。
基本はこまごまとした雑務が多いが、会議資料の作成を手伝うこともあるし、部署のメイン業務もある程度任せてもらえている。

また、福利厚生も一般社員と同じように利用でき、体調不良による突発休(私は時々鬱状態になることがある)もある程度は許容してもらえている。


だからこそ、私は会社の役に立つことが出来る社員になりたいのだ。
ここまで配慮をしてもらい、業務も割り振ってもらえているからこそ、その配慮に応えたい。
雇って良かったと思われるよう、よりパフォーマンスを上げたい。


私は事務職として働いているので、オフィスソフト(Excel・Word)を毎日のように使用している。

なので、まずは資料作成スキルを磨き、作業効率を上げたい。
オフィスソフトの資格を一応持ってはいるので、さらに上のレベルのものを取得できるよう頑張っていきたいと思う。

また、業務上文書を作成する機会もまあまああるので、読みやすい書類を早く作成できるようになりたい。

一般の人からしたら初歩的な目標かもしれないが、20代後半から定職に就いた身としてはここからスタートしていきたいと思う。


②体調を崩したとしてもリカバリーしつつ働き続けたい


双極症は精神障害だ。

私は現在も、症状に応じた薬を毎日5種類飲みつつ、時には軽躁(気分が病的に上がる症状)状態で色々とやらかし、時には鬱状態で家で寝込んでしまう。
その波を完全に抑えることは難しい。おそらくこの障害を完治させることは一生できないと思う。

その中で働き続けるためには、薬や社会的支援を利用しつつ、自助努力を重ねていきたい。

薬に関しては毎日飲んでいる薬に加えて、体調不良時の頓服薬、疲れにはサプリメント、頭痛には鎮痛剤、腹痛には整腸剤を利用し、どうにもならない時には通院して診察・薬を処方してもらう。

社会的支援としては、自立支援医療(精神科で処方される薬の自己負担額を減らしてくれる制度)、障害者手帳(さまざまな障害福祉サービスを利用するための手帳)、障害年金(障害者が受給できる年金・ちなみに受給までの手続きが煩雑)、障害者就労支援センター等を利用する。

私は、障害は一生抱えていくものなので、それなら使えるものはすべて使おう、というスタンスで社会的支援を利用しまくっている。まあ結果働けているのだから、悪いことではないと思う。

自助努力については、今まで行なっていて、これからも行いたいことが2つある。

A.コミュニティと居場所を確保する
会社はもちろんコミュニティだ。
だが会社は「働く場」としてのコミュニティだ。人との関わりの場を職場のみに依存してしまうと、悩みを抱えた際にメンタルが危うくなる可能性がある。

私が働けるようになったのは、ニート・ひきこもり向けのフリースペースやTwitterを通じて、話したり、遊んだり、悩みを相談できる友人や仲間ができたからだ。
実際に会ったり、メッセージでやり取りしたり、通話したり。そういう相手がいることはとてもありがたい。

悩みを抱えた時には友人に話を聞いてもらう、仲間たちとのコミュニケーションでストレス解消をする。
どちらも大切なことだ。

それ以外でも、たまに行きつけのカフェに行ったり、当事者会やイベントに顔を出すこともある。それも楽しい。

人間が生きるためには人との繋がりが必要だ。
誰かとコミュニケーションを取ることができると、それだけでずいぶん救いになる。
それはこれまでの人生で実感している。これからも大事にしていきたい。

B.趣味を持つ
私は野球が好きだ。仕事が終われば毎日のようにTVで観戦をしてるし、たまに野球場に行くこともある。
野球は日本ではメジャーなスポーツなので、人との話題としてはとても使いやすい。特におじさんと呼ばれる世代の男性とはとても話がしやすくなる。
私は横浜住みの横浜DeNAベイスターズファンなので、職場にもベイスターズファンが何人かいる。
ベイスターズの話をする時、私は「障害者」だけでなく、「ベイスターズファン」という属性が持てる。それはすごく良いことなのではないか、と思ったりもする。

また、職場だけではなく、他のコミュニティにも参加しやすくなった。
趣味はコミュニケーションにおいて便利なツールなのだとつくづく感じる。

何より野球観戦はストレス解消の一助となる。声を出して応援をすると楽しいし、選手が活躍して勝つと嬉しい(負けるとつらい)。
他人の勝負で一喜一憂できるのはとても面白い体験だと思う。
みなさんもぜひベイスターズファンになりましょう(布教)。


③今後、働く障害を持つ人のために、「障害者雇用で働く人」としての印象を良くしたい


これは、前職の同じ障害者雇用で働いていた先輩が話していたことから影響された考え方だ。
初めてこの話を聞いた時はびっくりした。自分でただ働くだけではなく、未来の後輩のことまで考えて働くなんて、なんて立派なのかと…。

今後、私が辞めて他の人が入ってきた時には、「クレマチスさんは頑張ってくれたし、この人にも期待しよう」と思われるように働きたい。
「障害者であっても頑張って働いてくれていた」という感想を抱いてもらえるよう、自分なりに努力をしていきたいと思う。



長くなったが、これが私の歩みたいキャリアだ。
より良く働くことはより良く生きることに繋がると思う。ならば、より良く生きればより良い職業人生を歩むことも可能ではないだろうか。
これからも、障害を抱えつつ、働き続けていけたらと思う。無理せず頑張っていきたい。

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