トイレのドアを開けるとだいたい人が座っている件
用があって実家に帰って
まずトイレに行こうと思ってドアを開けたら父が座っていた。
「わーん」
って言われたけど、こっちが「わーん」です。
「ふざけんなっ!」
と怒気込めて即刻ドアを叩きつけた。
もちろん我が家は洋式だ。もし和式だったなら…(ドア開ける=父の尻見える。というか尻だけで済むまい)なんて考えたくもない。また今回は、すごい前屈みになって両膝に両肘をつくスタイルだったのが唯一救い。父は手に持った新聞の折込チラシに目を落としていて(本当に読んでいるのかは不明)、幸いわたしから見えたのは薄くなった父の頭頂部のみだった。こういうタイミングでもし仮に父が真っ直ぐ正面を向いていたら視線が合うこと必至、後に残るのは気まずさ以上の“不吉な塊”。間違いない。
昔っから、そうだ。
前々から不思議に思っていること。
「トイレのドアを開けると人が座っている」
わたしの人生でこのシチュエーションの極めて多いこと。絶対見えてはいけないはずの“中の人”との遭遇。その回数でいうと他の人には負けないかもしれない。ただ、全然自慢にはならない。
一番よくあるのが
「スーパーに買い物に行って、そこでトイレに行き、個室のドアを開けるとおばさんが座っていた」
というようなこと。
まぁ、本当に不思議なくらいよくある。
一番センセーショナルだったのが
大学時代に住んでいた学生寮でのこと。
圧倒的女子少数の寮生活。
当時高校を卒業したばかり
上京したてのウブなわたし。
トイレに行こうとドアを開けた。
先輩(男)が座ってた。
結構顔が良いと他の女子からは評判の人だった。
辛かった。
ドアを開けたら人がいて
「あわわ…!」となって即座に
「ごめんなさい!」と言って急いで閉める。
その後慌てて別の個室に入ってふぅ…となんとか心を落ち着かせ、そしていつも思うことがある。
「なぜ、わたしが謝っているのか」と。
本来、わたしの方が
「ごめんなさい」を言われる立場なのでは!?
それを初めて思ったのが、先のイケメン先輩のトイレを開けてしまった時だった。
(今さら思うが、彼は洋式トイレに座っていたのでほぼ確実に大だっただろう。)
な、ナナナなぜ、わたしが謝らなきゃならんのだ!?むしろ、みたくもないものを見せられて、こっちが謝って欲しいくらいなのに!
(そういえば男友達から聞いた話では、顔は良いけどオナラが臭いで有名な人だった。)
いや、わかる。
中にいる人こそ
まさか自分が大か小かの只中に
知らない人間が(時には知った人間が)
あの超プライベート空間に乱入してくるのだから
「え」も「あ」も出せない。
そんな余裕もないことを。
わたしの経験上、トイレの“中の人”は声を出さない。
というか発せないのだろうな。
そんな余裕はないはずだから。
だから、謝られたことはない。
“中の人”にとっては、わたしの方がもちろん場違いなのだ。それはわたしも理解している。
だがしかし。
これから大をしようとする人が。
究極の個人プレーに勤しもうという人が。
そんな無施錠でだなんて!
そんな無防備でいいの?!
もう、全世界の人にお願いしておきたいです。
これからもわたしはいろんな場所に行きますよ。
開けてもいいですか?あなたのトイレ。
イヤ、ですよね…?(わたしもイヤです。)
トイレに入ったら、鍵を掛けておいてくださいね。
わたしが開けてしまう前に。
いただいたサポートは、いつか海外に飛び立つときの資金にしたいとおもいます。