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しばれキャンプフェスティバル④ ~ソロキャン編その2
除夜の鐘と呪詛
昨日家族がいてよかったと思うことが一点ある。それは彼らが無駄にテントの中ではしゃいで空気をあっためてくれたことである。それが今夜はなく、底冷えする二人用テントで一人で寝なければならない。
寝袋にくるまって、一人寒さに耐えるしかない。エマージェンシーシートを引っ張り出して寝袋に突っ込んだら若干マシにはなったが、足元の冷えがひどい。そのうちスマホをいじる気力もなくなり、夜が明けるのを待つしかなくなった。
うすうす気が付いていたことだが、私は寒さに対する耐性がまったくない。寒いという単語が脳内ワードクラウドの大半を占めるようになり、ほかのアクティビティが一切楽しめないのである。
大晦日は普通、家で家族とゆっくりしたいよね。暖かい部屋で、いかそうめんにシャンパン決めたいよね。。。私なにやってるんだろう。。。
さて、このキャンプ場は22時消灯だ。いま23時過ぎているのだが隣のバカップル(昨日とはまた別のやつ)はまだ酒を飲んで盛り上がっている。
寝て寒さをやり過ごそうとしているのに、
「あっ、ねぇねぇ、除夜の鐘が聞こえるよー!」
「ほんとだー!」
みたいなどーでもいいことで盛り上がっている。あと、別の隣のサイトからは盛大ないびきが聞こえたりしてまったく眠れなかった。
私は除夜の鐘が鳴るたびに呪詛の念を彼らに全力で送信して、心を落ち着かせていた。
(ゴーン…)コロス、、、
サムイ、、、
(ゴーン…)コロス、、、
サムイ、、、
(ゴーン…)コロス、、、
サムイ、、、
白い世界と絶望と
明け方、バカップルの男が「ねぇ、そろそろ夜があけるよー!」と女に話しかける声で目覚めた。あのさ、俺様の貴重な睡眠を夜があけるからって理由で妨げるんじゃねぇよ。夜が明けるのは自明だろうが。
再度二度寝を試みたがまたバカ男のカァン!!カァン!!というバトニング音で二度寝もできなかった。マジでkr(以下略
あきらめて携帯を見たところ天気情報では-4度になっていた。
外に出たら霜がおりて世界が白くて、絶望した。
当然テントにも霜がおりており、これから私は水と氷でびたびたになったテントを撤収しなければならない。絶望した。
とにかくアルコールストーブでお湯を沸かしてインスタントコーヒーを淹れ、昨日買ったプロテインバーをもしゃもしゃ食べてなんとか動けるようにした。このアルコールストーブちゃん、圧倒的に便利である。沸かしたい水の量だけアルコールを入れればいいだけだし煤もつかない。
焚き火は、見た目は立派なのだが火のコントロールが大変だし、ちょっとの水を沸かすのにえらい時間がかかる。それにクッカーが煤だらけになる。
そういう社員いるよね、話し方とか見た目立派だがちょっとアレな感じの。
他の燃料でいうと、ガス缶やEsbitみたいな固形燃料があるが、ガス缶は重いし、Esbitは謎のイカ臭がするし煤も出るのであんまり好きになれない。
いぶりがっこ妖精、爆誕
さて、撤収のお時間になったのでテントも焚き火台も椅子もばらして、すべてを担いで徒歩で駅に向かった。焚き火で穴が開いた服にマットをくくりつけたザックを背負い、土でよごれた無印のビニールバッグを提げた自分はさながらホームレスおじさんのようだった。
電車に乗って一息つくと、なんか周囲から謎のいぶりがっこ臭がした。スメハラってやつだわ。もう、嫌ねえ。マナーには気をつかってほしいわぁ。
と思ったら、ふといぶりがっこ臭の元が自分であることに気がついた。慌てて鏡を見ると、すすけたマスクで皮脂で天然パーマ爆発した見た目がヤバい奴がそこにいた。
目を合わせたらそちら側の世界に引き込まれる気がしたので、目を合わせずその場を立ち去り、帰途についた。
そして、家についてしばらくして気が付いたことがあった。
家、さいこぅぅぅぅ!!!
拙者しばしお家から出ない侍になるでござるよフヒヒヒwww
<⑤番外編につづく>
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