北村センセ、すみませんでした

私は大変な誤読をしていました。今までのご無礼、大変申し訳ありませんでした。
 私はいままで、オープンレターを断片的にしか理解しておりませんでした。

私たちは、研究・教育・言論・メディアにかかわる者として、同じ営みにかかわるすべての人に向け、中傷や差別的言動を生み出す文化から距離を取ることを呼びかけます

 という文章を、あらゆる中傷、差別的・暴力的・排除的な言説に反対し、公正の精神の下、対話と止揚という民主社会における理想の言論形態を目指そうという誇り高い抗議なのだというとんでもない勘違いを勝手にしておりました。

 当該文章中、あらゆる中傷に反対だなどとはただの一言も記されておらず、ひたすら「女性研究者」や「マイノリティ」への中傷に対する反対を述べているだけであり、女性やマイノリティからの中傷については一切否定なさっていません。
 ですからオープンレター賛同者が、「男性皆殺し協会マニフェスト」を翻訳し「ビビるだろうな」などと学問の体を装ってヘイトや攻撃性を楽しむかのような発言をしようが、オトモダチが呉座勇一を触法レベルで中傷するのを薄ら笑いでスルーし、自分はその件について関心がないから批判も注意もしないし距離を取ったりもしないその義務もないなどと嘯こうが、自作小説への批判者をソーシャルハックして首括るまで詰めてやろうなどと脅迫する常習暴言作家に味方して早く詫び入れろと凄もうが、オープンレターの精神にはなんら悖るところはなく、これらが二重基準であるかのような物言いは全く当たりません。

 「『女を中傷する奴は業界からパージしろ。でも女は男を中傷してもいいよ』という態度が『公正』か?」という疑念をお持ちの各位におかれましては、オープンレターにて「何が『公正』か」を定義していないことを確認いただけたらと存じます。
 また、「職場が脅迫に屈して職を解かれた無職の呉座勇一は人文業界各位に対して『マイノリティ』なのではないか?」という疑問も同様に、「誰が、どういう要件を満たす者が『マイノリティ』なのか」についても、いくつかの例示を除いてオープンレターでは定義しておりません。

 その上、「何が公正か、誰がマイノリティかを決めることを自らの専権事項とする態度」について、オープンレターはなんら否定していません。そしてそれは社会学においては自明の行為でもあります。

 これからは私もオープンレターの精神に賛同し、女性やマイノリティへの中傷は厳罰、女性やマイノリティからの中傷は不問というように見識を改めて参ります。代理人弁護士がいちいちお気持ちメールなどを送らなくても良いような、より良い言論空間を目指して参りましょう!

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