「お父さんもポンコツだったな」
先日、大学の友人(新郎)の結婚式に出席した。
新郎は、サークルの後輩で、仲の良いグループの一人だ。彼はどちらかと言うと、イジられ役で、みんなのアイドル的な存在である。
チャペルに登場した際には、そのタキシードの似合わなさ具合から、感動より先に、自然と微笑みがこぼれてしまった。
私たちは、いつも彼をイジっていた。天然で、論理的に話すことが苦手な彼。でも憎めない。
本当はプライドが高いはずのに、自分でポンコツです、と言えるからすごい。
(確かに、自他共に認めるポンコツではある。)
そんな彼の晴れ舞台だった。
披露宴の終盤、彼の父が締めのスピーチをした。
そのお父さんは、ぐちゃぐちゃに泣きながら、
「仕事であんまり家に帰れない時に、長男である息子が弟たちの世話をよくしてくれた、と妻に聞いていました」
と話し始めた。
とってもやさしい気持ちになった。
つい、ウルッときてしまった。
あんまり彼をイジっちゃダメだな、と思ったものだ。(もちろん普段からイジめているわけではないし、愛を持ってイジっていると思っている。)
どんな人にも、大切に思われている人がいると考えると、とんでもなくやさしい気持ちになれる気がする。
(後日、新郎から聞くと、父が泣いたのを初めて見たとのことだ。)
しかし、披露宴が終わり、場所を移したあと、仲間内の大半は、冗談まじりで「お父さんもポンコツだったな」と感想を話していた。
特に反論はしなかったが、こうも感じることが違うのだな、と驚いた。
そしてもちろん、私は多少なりとも、傷ついた。
外側だけ見たらサブくても、その内側(中身)がいいものをいいと感じられなかったり、馬鹿にしたりするような人間には絶対になりたくない。
その中身を本質と言えるかどうかはわからない。
ただ、私は感動した。
それだけの話なのかもしれない。
やさしさとは、なんとも難しい。