マガジンのカバー画像

書評とは到底呼べない〜本との対話〜

18
読んだ本や観た映画の感想を書いていこうと思います。 本の内容ではなく、なるべくなら、その本を読み連想されたことや、その時に感じたことを書いていきたい。
運営しているクリエイター

2019年1月の記事一覧

『いわずにおれない』

『いわずにおれない』



この詩はこういうふうに読んでほしいっちゅうことは、それをつくった私にも言えないんですよ。ただ、その詩がどういうふうに読まれたがっているかということはあります。
たとえば、「ぞうさん」でしたら、〈ぞうさん/ぞうさん/おはなが ながいのね〉と言われた子ゾウは、からかいや悪口と受け取るのが当然ではないかと思うんです。この世の中にあんな鼻の長い生きものはほかにいませんから。
顔の四角い人ばかりの中

もっとみる
『在日の恋人』

『在日の恋人』

在日一世の持っている、具体的な「日本」への不信と嫌悪、祖国への強い想い、それはもはや、日本で生まれ育った在日二世がリアルに感じるものではありえず、むしろそれを、「情熱の欠如」というコンプレックスとして抱えている。「在日」として不完全である自分、純粋にアンチの存在ではありえない自分、そのコンプレックスを丸ごと抱えることこそが、二世であるKのリアリティであり出発点であることを、僕は知った。

うーん、

もっとみる