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『在日の恋人』

在日一世の持っている、具体的な「日本」への不信と嫌悪、祖国への強い想い、それはもはや、日本で生まれ育った在日二世がリアルに感じるものではありえず、むしろそれを、「情熱の欠如」というコンプレックスとして抱えている。「在日」として不完全である自分、純粋にアンチの存在ではありえない自分、そのコンプレックスを丸ごと抱えることこそが、二世であるKのリアリティであり出発点であることを、僕は知った。


うーん、唸ってしまう一文だ。シビれる。
ここまで鋭く、在日二世や三世の実情を表現した文章があっただろうか。私は知らない。

こういう文章に触れると、ああ、本を読んでよかったなぁ、と思う。

『在日の恋人』/高嶺格/河出書房新社/2008.12.4.

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