見出し画像

育児ぴえん漫画はなぜ生み出されるのか?

ツイッターで男女ともに大人気のコンテンツがある。それが『育児ぴえん漫画』である。

育児ぴえん漫画とは、おもに新生児から乳児期(0歳児が多い)の赤ちゃんを育児している女性が執筆する地獄のような育児の辛さを吐露する漫画のことだ。

育児ぴえん漫画の主人公の女性は、その多くが赤ちゃんのお世話に24時間付きっ切りとなり、自らの人生が奪われている辛さや泣き続ける赤ちゃんをお世話することの大変さに絶望している。場合によっては自らの命さえも絶たんばかりで『育児辛い!育児は地獄!私の人生を返せ!ヘル育児!』と作中で発狂する。漫画の中の赤ちゃんは四六時中泣き叫び続ける悪魔のような存在として描かれていることも多い

新生児育児の大変さは筆者も経験しているし、作者たちの言い分もわからいでもない。ただこれだけはいいたい。

赤ちゃんを悪鬼が如く描くのはさすがに盛りすぎではないだろうか?

冷静になって考えてみればわかることであるが、もし一人目の新生児育児が地獄であるならば、ほとんどの家庭は2人目の子供を作ろうとせずに日本はとっくに滅びているだろう。しかし現実には既婚世帯の多くは2人以上の子供を設けており、晩婚化が進む現代でも結婚世帯の出生率は1.7~1.9の数値を維持している。多くの夫婦は1人目の育児を乗り越え、2人目の子供を望んでいるのである。

東洋経済オンライン:結婚世帯の出生率は1990年ごろから横ばい

例外として先天的な障がいを持つ赤ちゃんの場合、赤ちゃんの健康面のケアなど非常に困難な育児になることは理解できる。筆者は以前より日本は障がい児のケアにもっと公的支援をすべきだと考えている。少子化対策を叫びながら障がい児家庭を軽んじているのはどうも納得が出来ない部分がある。福祉の支援を受けるべき家庭は必ず拾い上げられるべきである。

ただし健常な赤ちゃんの育児ですら行き詰まり、育児ぴえん漫画を描いてしまうのは、統計結果から見ても盛りすぎと言わざるを得ないだろう。

育児ぴえん漫画はおおげさに過ぎるが、確かに新生児育児は2時間起きの授乳など体力的にキツイ部分は多い。ではなぜ多くの家庭はハードな新生児育児を経験してもなお、2人目の子供を望むのだろうか?その最大の要因の一つが育児ぴえん漫画には描かれない部分に隠されている。

新生児育児を経験してなお、2人目の子供が欲しくなる大きな理由の一つ、それが『0歳児はめちゃくちゃかわいい』ということだ。

新生児から乳児期の赤ちゃんしか発することが出来ない真の可愛さがあるのだ。最初は無表情で合った赤ちゃんが新生児微笑を経て、少しずつ表情が豊かになっていく。育児ぴえん漫画では泣いてばかりの赤ちゃんであるが、生後8~10か月の頃の赤ちゃんはパパママを見るだけでめちゃくちゃ笑ってくれるようになる。特に寝起きやご飯後のごきげんなタイミングであれば何をしてもキャッキャキャッキャと笑ってくれる。めちゃくちゃ可愛い。

身体の発達速度も凄まじく、特に男の子の場合はついこないだ買ったばかりのロンパースなどがすぐにパツパツになってしまう。身体の成長と共にできることもどんどん増えていく。ずりばい、飛行機ポーズ、匍匐前進、高速ハイハイ、つかまり立ち、独り立ち、よちよち歩き……発達の速度によって多少の前後はあるものの、ただただ横になってミルクを飲んで寝て泣いてを繰り返すだけだった新生児は、ものの1年でここまで立派に急成長する。老いていくだけの我々中年男女に比べ、新生児から乳児期の赤ちゃんの成長速度はもはや奇跡である

多くの家庭では慣れない最初の数か月は戸惑ったり不安になったりと育児疲れしてしまうタイミングがあるが、半年もすれば育児にも慣れてくる。そして赤ちゃんもどんどん可愛さを増していくことによって、育児の楽しさが育児の辛さを上回っていく。育児は大変かもしれないが、それを補って余りある充実感や幸福感を家族に与えてくれる。

また赤ちゃんは目が離すことが難しく24時間勤務だと育児ぴえん漫画では訴えられることが多いが、これも盛りすぎである。本当に24時間目が離せなかったら漫画描く時間もないはずだ。

育児を終えてからぴえん漫画を描いている作者もいるが少数派であり、多くの人が乳飲み子を抱え24時間育児をこなしながら育児漫画を描いている。24時間奪われている設定はどこへいったのだろうか?

そもそも世の中にはジジババヘルプや保育園、ベビーシッターなど様々な育児手段を利用しながら、小さな子供を2人以上を育てつつバリバリに夫婦共働きをこなす夫婦も沢山存在している。

たった一人の乳児育児が本当に24時間付きっ切りの地獄であるなら、彼女たちバリキャリ兄弟姉妹育児ママたちは超人でなければおかしいことになる。しかし彼女たちはシーハルクでも何でもない生身の人間だ。新生児育児のせいで何もできない!というのは言い過ぎである。

育児を乗り越えて先に進んでいく女性と、育児でぴえんして漫画を描いてしまう女性の違いとは一体どこにあるのであろうか?育児ぴえん漫画を描く女性たちが新生児育児の辛さに打ちのめされずに済む最もシンプルな解決策と共に書いていこう。

まず育児ぴえん漫画を描く女性に共通するポイントとして”心技体”それぞれに該当する3つの要素がある。まず一つ目が……

ここから先は

2,727字

¥ 250

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!