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ひとを感じる倉吉旅


急遽決めた鳥取旅

最近ストレスでいっぱいいっぱいで、これ以上ここにいるのはしんどい…と思い、急遽決めた鳥取旅。

1日目は松江に用事があったため、松江で1泊。2日目の朝も松江の宿でのんびりし、ゆったりとJRへ。

私はよく行き先を決めず降りたいところで降りる、という旅をするのだけれど、残念ながら鳥取は伯耆大山以東はICカードが使えないので、とりあえず倉吉駅までの切符を買った。
鳥取市にも行きたいけど、時間的に2か所行けるか分からないので、余裕があれば鳥取市へも、という気持ちで(結果的に鳥取市までは行けなかった)。

松江〜米子間のすっかり見慣れた景色を通り過ぎて、米子から倉吉駅まで1時間強揺られる。その間の景色のなんと美しいことか。
だだっ広い平地に広がるのどかな田畑、枯野に雄大に立つ風力発電の風車、その向こうに見える壮大な海。
それでいてスーパーやチェーン店もところどころに見えて、人の営みをほどよく感じる。

途中にタコの遊園地…?(調べたところ道の駅赤崎にある遊び場だった)や、コナンの作者青山剛昌のふるさと館なんかもあって、失礼ながら人口が1番少なくて廃れている、という印象のあった鳥取への印象ががらりと変わった。

倉吉到着

そんな風景を見納めて、倉吉へ到着!
倉吉駅は想像以上に栄えていて外観も今どきのお洒落な感じ。なんで松山駅は県庁所在地なのにこれに負けてるんだ…と愛媛県民としては悲しくなる。

倉吉マップ

レンタサイクルで街を回ろう!と思ったものの、三連休の真ん中とあって既に全て借りられていた。泣く泣くバスに乗って、第一目的地の白壁土造群へ向かう。
バス車内からポプラ弁当や一級河川の天神川を見るなどして、人口数万人の人の生活がここにあるんだ、と思う。

さて、白壁に着いてまずは昼ごはん。
ブックマークしていた蕎麦屋へ向かう…も、なんと本日の蕎麦は終了、とのことで、ぺこぺこなお腹で町を歩く。
途中で、カフェOpenの看板を見つけ、Googleマップに載ってないお店だけどまあここでいっか、と入店。これが思わぬ出会いを生む。

地元全開のカフェ

カフェに入ると、おばさま2人が地元民とおしゃべり中。入った途端、あ、地元民の店だ、と思うも引き返せずそのままハンバーグ定食を注文。
おばさまに「どこから来たの?」「倉吉はどう?」と次々質問される。話していくうちに、この店は2日前にオープンしたばかりなのだと知る。さすがオープン3日目、地元民とエアコンの風当たりがどうだとか、ここの家具の配置をこうした方がいいんじゃないかと話し声が聞こえてくる。ごめんなさいねまだ3日目だから、とおばさま。


ハンバーグ定食(¥750)

さてさてやってきたハンバーグ定食。
今住んでいる島では1000円超えが当たり前なので、これで750円とは安く感じてしまう。感覚がバグってるなあ。

副菜がアルミカップに入ってたり、ゆで卵の殻が微妙に残ってるままだったり、バナナを剥いてみたら黒ずんでいたり…と、なかなかに「オープン3日目」を感じる。
でもその感じがまた、マニュアル化されたチェーン店との違いを感じて、いかにもな「お手製」感があって、いい。いかにも近所のおばちゃんが、人を喜ばせるにはこれもあれも出そうかな、と組み合わせて出した風だ。

白壁土蔵群を散策…のつもりが

食べ終えてぼーっとお茶を飲んでいると、カウンター席にいた地元のおじさまが、やはりどこから来たか、どこを回る予定か、と話しかけてこられた。
地元民とあってなかなかに詳しく、三徳山に行くべきだ、それから〇〇の宿坊に泊まるのがいい、あそこなら何百円で泊まれる、それから〇〇温泉を回って…と、倉吉弁全開で伝えられる。周りの話し声と方言の癖とで聞き取れない箇所も多かったけどうんうんと頷く。

おじさまの話のペースについていくと、気づけば15時に。おじさまが会計するのを見計らって、トイレに行って一呼吸。
さあ帰るぞ、と思ったところ、トイレから出たらなんとさっきのおじさまがパンフレットを持ってきてくださっていた。しかもこのまま白壁群を案内されそうな雰囲気。

断るわけにもいかず、ついていくと、「この場所は寅さんとごとうくみこが抱き合った場所で、ここから寅さんがやってきて、ごとうくみこはこっちの道を歩いてきて…それからあの家が寅さんが泊まってたところで」と、全然知らない寅さんの話が始まった。いや知らんがな。でもこういうのは絶対にパンフレットからは得られない情報。

その後も「観光客の人はこっちにはあまり来ないけど川沿いのこの場所から撮影するのがいい、ほらもっとこっち、ここぎりぎりに立って」と撮影方法まで指定され、おじさまのペースに振り回され、しばらくしてやっと別れる。

教えてもらった白壁の撮り方

人のペースに合わせると見たいものを見落としてしまうので、その後自分の足でくるくる。が、時間が時間なので閉まりかけているお店が多数…。
日が暮れる前に、と打吹公園へ向かう。

打吹城跡への遊歩道があったので登るか、と思ったものの、2泊3日の荷物を抱えたまま登る体力もなく、神社まで行った後は周辺を散策。猿の動物舎もあったのだが、時間的にもう外にいない時間だった。
仕方なくそのまま下りて、またぶらぶら。

なんとなく入ってみた土産屋では、こんな和紙の展示があった。南総里見八犬伝って、倉吉に関係あったのか。

その横にはフィギュアが大量にあって、なんで?と思っているとやはり店員に話しかけられた。この町は見知らぬ客に話しかける文化でもあんの???
その店員が言うには、倉吉には日本では珍しくフィギュア工場があるんだとか。フィギュアの殆どは外国産だから、日本製はここくらいらしい。
その他因幡の白兎グッズや倉吉の和紙の説明もされるも、全く押し売ろうという気迫を感じさせず、ただ会話を楽しんでいるような方だった。(結局何も買わなくてすみません…)

土産屋を出ると、さっきまで開いていた弓道体験場やキーマカレー屋さんなど、あらゆる店がほぼ閉店。まだ16時だぞ閉まるの早すぎん?

帰り道

仕方ないので帰り道ついでに図書館まで歩いてみるか!と進むと、途中でたい焼き屋さんを発見。そういえばさっきの店員さんがここのたい焼きは有名とか言ってたな。せっかくなので注文。
もっちもちの皮に包まれた温かいあんこを頬張った。店内には無料の飲み物コーナー(珈琲、ほうじ茶、煎茶、水)があった。私がのんびりしていると次々とお客さんが注文していって、やはり人気店なのだと知る。

たい焼きで糖分補給したので、また歩くこと10分ほどで図書館に到着。

倉吉市立図書館


閉館まで1時間ほどのんびりしてさあ帰るぞ、と思ったら、なんと次のバスだと米子行きの電車まで1時間以上ある!!
…なら歩くか!と、片道3キロ超を歩くことに決める。

普通の民家の街並みを過ぎて歩くこと20分ほど、疲れてしまって途中のベンチでひとやすみ。
10分のタイマーをかけて寝ていたところ、具合が悪いと思ったのか、通りがかった男子中学生?2人組が、「大丈夫ですか?」と話しかけてきた。
こんなところで寝ていた私が悪い。いやほんとに大丈夫ですすみません、と言うのに「大丈夫ですか?自転車貸しましょうか?どこまで行くんですか」となおも心配される。いやいやほんとに大丈夫です、心配おかけしてすみません休んでただけなので…と断って、心配そうにしつつも2人組が帰った。
(心配させてごめんなさい…)

ひとやすみを終えて、駅まで15分ほど歩いて到着!
途中、行きのバスでみた光景と同じ光景になり、なんとなく安心。

おわりに

この日の歩数は1万歩を軽く超えていた。
自覚していなかったけれど疲れがどっと溜まっていたのか、電車の中で爆睡してしまった。
そのまま米子のホテルでばたんきゅー。

人から離れたくて急遽決行した旅行だったけど、倉吉ではカフェの人、カフェで出会った地元民、人懐こい土産屋の店員、心から心配して声をかけてくれた男子中学生2人組と、色んな方に声をかけられた、なかなかにディープな1日となった。

最後に倉吉のマンホール
道のあらゆるところで椿を見た

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