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海の向こうの出産事情

イスラエルの医療は世界の最先端をいく。コロナのときも民主国家でありながら、危機管理のかたまりのような国なので、瞬時に鎖国。日本のテレビでも報道されたが、ワクチンは医療カードを提示すればすべて記録が残って何度打ったかとかいつ打てるかの心配は皆無だったらしい。もちろん打つか打たないかは本人の自由。それで患者が増えても混乱がなくマスクを徐々にはずしていった。何度か参加したオンラインのエルサレムツアーでは、キッパーがわりにマスクを頭に乗せているお茶目なイスラエリーもいた。

私が日本のマイナンバーカードに賛成なのは、政府に銀行口座をしられることより、災害の時などに、いつかこれ一枚をもって逃げれば、保険も銀行も住所も年寄りが覚えていられない身分に関するすべてが証明できるというようなものになってほしいからだ。(今はまだそうではないし悪用の懸念もあるが……)高齢化がすすみ、気候変動起因の災害が多い日本では大事なことではないのかと私は思う。

閑話休題

お嫁さんの出産は20時間に及び、つきそった助産師の友人によると、母子ともにがんばり「お産が進み続けた」けど大きくて出られなかったという。それで緊急帝王切開となった。アングロサクソンとアジア人の体はまったく違う、骨格も筋肉の強さもほんとに桁が違う。だからどんな妊婦も一週間病院にいるなんてことはしないのだけど、さすがにお腹を切ったので3日ぐらいは入院できたらしい。

イスラエリーの妊婦さんは、一日で退院して記者の前に立つイギリス王妃と同じで、戦時下でなければ産んだ次の日にピクニックに赤ん坊をつれてきてしまう強さを持つ。うちのお嫁さんは日本人なので息子にも産後の肥立ちのことを教え、大事にしてほしいと伝えてあったが、ちょうど病院の隣にホテルがあり、そこに3日間滞在して体を休めることにしたという。

そのホテルが心得たもので産院と同じように暮らせるサービスがあり、新生児のおくるみから、着替えの肌着、そしてふわふわのタオル、新生児ベビーベッド、何から何まで備えてある。そんな場所で息子は、リモートで仕事をし、風呂にいれ、おむつをかえてがんばったらしい。何かあれば隣の病院にかけこめるのだから安心だ。

セキュリティの関係で写真を載せられないのが残念だけど、SNSにアップされていく動画をみると、ミサイルのアラートも聞こえる。お腹にいるときから爆撃音を毎日聞いていたから、外にでても驚かず、ちょっとのことでは起きない巨大児として産まれたことに感謝するしかない。とりあえず誰もが安全な場所で子育てしているわけではないのは確かである。

日本ではあまり報道されないが、ガザに近いテルアビブにも一万発以上の爆弾が撃ち込まれている。出産後もそれは続いている。人質交渉のための停戦の最中、東エルサレムでの乱射事件があり、戦争再開。救援物資を独り占めして高額で転売するハマスにパレスチナの人が抵抗を始めている。そんな動画はたくさん出回っているが、人はみたいものしかみないので日本人にとってはやはり弱者は正義と信じ判官贔屓したいのかもしれない。ほんとうの弱者は一体誰なのか、ハマスを信じて盾となるパレスチナの人々のことだけではない、産まれたばかりの孫のことを思う日々が続く。

現地にいってそれを確かめたい衝動にかられるが、実際は大切なお嫁さんを休ませてあげることに専念することになるだろう。私の年末の過ごし方は全身の点検と定期検診。さあて、そろそろ膝にヒアルロン酸注射をしに整形外科にいってこよう。(画像はすべて現地で以前私がとったものです)

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