不意打ち。
きょう、映画を観て泣いた。
上映開始ほどなく、感じた。
あぁ、俺きょう、泣くだろうな…
そうおもいながら、もう泣いていた。
泣くなんて思っていなかった。
なんて素敵な映画なんだろう…
ドラえもん。
その話の前に、午前中の話。
午前中は親友と二人で地獄のような悪天の中、二峰城跡に登る。
歴史が好きな私と親友。近くに新幹線の駅舎があり、城跡の一角が絶好の新幹線ビュースポットになっている事を知り、行こうという事になった。
絵に描いたような悪天。ここは地獄ですか。
そして、うっかり雨具を忘れた私は、横殴りの風雪と滝のような雨に打たれた。
愚かな私を優しく傘に招き入れてくれる親友。
小さい傘。さすがに遠慮する。
春雨じゃ…濡れてまいろう…ザァアアォピシャピシャヒュウウ…コオオオ…ザァアア…ゴロゴロ…ピシャア!!!
晴天の山を登るが如く、満面の笑みで歩を進める私を親友は気の毒そうに見ている。だがしばらくすると
「すんどめ見てると傘差してるのがバカらしくなってきたwいいなぁ…すんどめ…」
「いいだろ〜おっ、ビュースポットもうスグじゃん!」
ごめん、痩せ我慢ッスwwwカッコつけて黙ってたけどwww
ズッシリと重くなった黒いロングコートをズルズルと引きずりながら、ドロ昆布のような出で立ちで山から降りてくる私。隣には傘を差した人間。
そんな二人組がそのまますぐ横にある出来たばかりの新幹線の駅舎に入っていく。
ドロ昆布が駅舎を徘徊する。お土産コーナーに買う気もないのにふら〜と入り、観光客を震撼させる…。
その後、ひとしきりコーヒーを飲んでおしゃべりをしてからお昼には帰宅。
午前の話、完。
午後、娘が観たいと言っていた『映画ドラえもん、のび太の地球交響楽』を娘と二人で観に行く。
このドラえもん…本当に映画館で観て大正解。
なぜなら、音楽。
映画館のすばらしい音響で聴く音楽の素晴らしいこと!
この映画、冒頭から様々な音にクローズアップしている。生活していると出る様々な音、自然が奏でる音、人の喋る声、空気を震わすありとあらゆるもの音を淡々と聴かせる。聴かせにきている。
言語学で音象徴という概念がある。
このように形から音を、音から形を想起することがある。
この映画では音を図形化して視覚的に表現している。
そして、それがとっても素敵。
のび太たちが演奏をするシーンがどんどん流れる。
ドラえもんの映画なのに、ドラえもんのひみつ道具は数えるほどしか出てこない。
のび太たちは今回、ドラえもんの道具では一切戦わない。
ただひたすらに楽器を演奏する。
心が震える。
ストーリーとは別のところで、心が震える。
たとえば、河川敷で合奏するシーン。あんなに…あんな楽しそうに、幸せいっぱいに…ただそれだけ、ただそれだけ。
なんなんだよこれ…たまんないよ、たまんない。
ずっと感動している。
号泣とかではない。
じんわり滲み、時間をかけて一粒。
そしてポロッと零れる。
そんな涙。
上映開始から終わりまで、こんな気持ちで映画を観たのは初めてだった。
映画館で観て本当によかった。
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