見出し画像

予想外の展開と方向性

Vol.1が終了したその日の打ち上げで、
Vol.2の話は一気に進んだ。

きっかけは、尊敬するパフォーマーの一言だった。

「2回目やっちゃえば?いい会場知ってるよ?」

いい気分で酔いが回り、上機嫌だったのもあり
私はその場で二つ返事をしていた。
酔いがさめてからの焦り具合は半端なかった。

Vol.2の会場は「下北沢ろくでもない夜」
RCサクセション、ゆらゆら帝国、THEATER BROOK、
神聖かまってちゃん、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 等
「下北沢屋根裏」といわれていた時代に著名なバンドグループが
数多く出演している歴史のあるライブハウスだった。

無論、私はそんなことも知らずに意気揚々と二つ返事。

バカなんじゃないかと思った。
そんな由緒あるライブハウスで一般人のしかも素人が
ライブイベントするなんて無謀すぎる!!
やばいでしょ!どう考えても!!
そう思ってた。

しかし、無謀は時として「希望」へと変わった。


出演グループは前回を上回る13組。
バンド、ソロ、デュオ、DJ、アカペラ、ダンスグループと幅広いジャンルの人が
参加してくれた。

そして今回より新しく取り入れたのは
出演者によるチケットの手売りだった。
※1回目はすべてWEB販売

出演者たちが自らチケットを手売りしてくれた。
1人で20枚以上手売りしてくれる人もいた。
そして目標としていた人数を気づけば大幅に超えてしまってた。

予想外なことが起きてしまったのだ。

当初の予定では、出演者・観客合わせて90人前後集まれば
イベントとしては成功だった。
しかし確認した時点で130人オーバー。
会場キャパぎりぎりの集客になっていた。

こんな事態になるとは思わず、
出演者にはガンガン売るようにお願いしていた。
しかし、途中からは「売らないで」とお願いせざるを得なくなった。

理由はいろいろあるが、
一番は来てくれたお客さんが楽しめなくなること。

会場キャパがギリギリな状態で観に来ても、
お目当てのグループのパフォーマンスをちゃんと見れない可能性がある。
遠方から招待するとなると、さらにデリケートな話になってくる。

個人的には観に来たいと言ってくれる人は
全員来てもらいたい。
でも楽しむことのできない環境を提供した場合、
その不満の矛先は誘ってくれた出演者に向けられる可能性だってある。
それだけは避けたかった。

そこで、チケットをストップしてほしいとのお願いと
売れ売れとお願いしていたのに
販売を中止させてしまったことについて謝ることにした。

言い分は沢山あったと思う。
思うことも色々あったと思う。
当時の力量ではそれが精いっぱいだった。
特に私に手を差し伸べてくれた運営メンバーに
負担をかけたくなかった。

そしてやむなくチケット完売の告知をした。

WEBチケットも数枚販売したが、
1時間で完売。
素人イベントで「完売」は私の経験では聞いたことなかった。

他にもVol.2では乗り越えなければいけない壁が多々あった。
それは完全に私の力量が足りなかったからだ。
本当に申し訳ないと思うこともいまだにある。

でもやりきるためには、すべての意見を聞く事はできないし
それに左右されてもいけない。
オーガナイザーとして芯はブレてはいけない。
何か一つをOKしたら、ほかの一つもOKしないといけない。
そうなった時に、振り回されるのは他の誰でもなく
出演者たちだ。

そう思うと、全部の意見を実行することはできなかった。
もちろん、こう言ってはいるが中には
「できてなかったよ、あの時」と思う人もいると思う。
それは本当にごめんなさい。

なんだかんだあったが、
当日は無事に開催することができた。

130名を超える総動員数と
1回目をはるかに超えるパフォーマンス
どのグループも本番に向けて沢山練習して
沢山葛藤して、苦労して
色々な思いを胸に当日を迎えていた。

大阪から参加してくれていたバンド
「圧倒的マジョリティ」は今回で卒業を発表。
あの時のMCの言葉は今でも忘れない。
「ありがとう」の言葉にはいろいろな思いが込められていた。

ただ「楽しい」から始めたイベントが、
いつの間にか誰かの背中を押すようなイベントになり、
そして無謀に見えた会場での開催を、
希望に変えた。

終わった後も沢山の人から感想をもらった。
厳しい意見もあった。
良くも悪くも「ポンコツ」が周りに広まっていった。

どう感じたかは人によって違うし、
それに対してどう感じるかも人それぞれだ。

ただ、ひとつ言えるのは
オーガナイザーは孤独だということ。

そして「ポンコツ」の方向性が
わからなくなってしまった。

そんな時に助けてくれたのは、
運営メンバーや他でもない出演者たちであり、
このイベントにまだ可能性を感じてくれている人たちだった。

そして、Vol.3の開催がすでに仮決定していたので
本決定としてスタートさせることになった。

場所は、渋谷チェルシーホテル

ここも由緒あるライブハウスだ。
そして今回も沢山の魅力的な人々が終結し
このイベントを盛り上げようとしてくれている。

きっと、今回のような大人数のポンコツは
この先できるかわからない。

やると決めたからには、
最後までみんなと走り抜けたいと思う。

―次回より、そんな個性的な出演者について紹介していこうと思う。