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衝撃!女性は歩きすぎに注意!!歩数と死亡リスクの関係

こんにちは。この記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。この記事では歩数と死亡に関する米国の研究を紹介したいと思います。

皆様、歩数と死亡に関する研究なんて言ったら、どうせ、たくさん歩いている人の方が長生きです~みたいになるだろうと思っていませんか?少なくとも、わたしは絶対に歩数が多い人の方が健康だろうと思っていました。

ところが、この歩数と死亡リスクの問題は必ずしもたくさん歩けばよい訳ではありません。逆に女性は歩数が多すぎると死亡リスクが上がる傾向にあったのです

この記事で紹介する研究は、JAMAという著名な医学誌から発表された論文で、とても興味深いな~と思ったのでここで紹介したいと思います。

たくさん歩くほど死亡のリスクが下がる!

それでは早速この研究の紹介に入りたいと思います。この研究は米国で行われた研究で約5,000人のコホート研究です。参加者に活動量計を7日間装着し、その後の死亡リスクを比較したというデザインです。

非常にシンプルな研究デザインですので結果もとても分かりやすいと思います。

20210606歩数*死亡率_1 (1)

まず、上のグラフが参加者全体の死亡率を縦軸に、1日当たりの平均歩数を横軸にプロットしたグラフになりますが、1日当たりの歩数が多ければ多いほど死亡率が下がっていますね。ただ、10,000歩を超えると頭打ちとなり、12,000歩を超えるとほとんど差がないようです

この結果を考慮すると、1日当たりの歩数は多ければ多いほど長生きにつながりそうですが、10,000歩を超えれば、活動量としては十分なのかなと思います。

男女、年齢で分けると結果が全然違う!!

20210606歩数*死亡率_2 (1)

全参加者の解析結果では歩数が多いほど死亡リスクが減少することが分かりました。ところがこの結果を男女別、年齢別に見るとわりと結果に違いがありました。

左のグラフを見ていただくと、歩数と死亡率の関係は男女差がかなり大きいことが分かります。男性は歩数が多ければ多いほど死亡リスクが下がっています。雰囲気的には、16,000歩でもまだ頭打ちになっていません。

一方、女性は10,000歩を超えると緩やかですが、死亡リスクが上がります。男女の基本的な筋力の違いだと思うので、男性ももっと歩数が多いと死亡リスクが上がる可能性はありますが、この研究ではそこまでは分かりませんね。

また死亡率と歩数の関係は年齢差も大きく、右のグラフを見ても明らかなように、高齢な人ほどたくさん歩くことで死亡のリスクが劇的に下がりました。

これは若い人は歩数に関係なくもともと死亡率が低いので当然の結果なのですが、実は今回の研究と類似した研究(参考文献2)では、65歳以上の女性だけで同様の試験を行った結果、約7,500歩を超えると死亡のリスクが上がる傾向がありました。

このような研究結果を考えると、自分の体力・筋力を考えながら適切な歩数を考えて継続するということがとても大切なようです。

どうしても、たくさん歩くという点に意識が向きがちなので注意したいところですね!

歩くスピードと死亡のリスクは関連は不明

20210606歩数*死亡率_3 (1)

次に歩く速度と死亡率の関係も紹介したいと思います。1分当たりの歩数をケーデンスという呼び方をしたりしますが、上のグラフは左から

(a) 1日の平均速度
(b) 最も速い連続30分の平均速度
(c) 最も速い1分間の平均速度

を示しています。

歩行速度は測定方法の特徴として欠損が多いです。考えてみれば当たり前ですが、連続30分の平均速度は連続30分歩いてなければデータ欠損します。連続30分歩かないことなんて普通にあることなので、欠損が多いのもしょうがないですね。

で、この結果をまとめると、結論としては歩くスピードと死亡リスクには統計的な関連は見られませんでした。グラフだけ見ると、歩行速度が速い人は少し死亡率が低いかなと思いますが、一貫したデータにはなっていません。

つまり、このデータも踏まえてまとめると、ゆっくりでもいいのでたくさん歩くこと(女性は10,000歩以内)が大切と言うことがこの研究のメインメッセージになるかな~と思います

【結論】健康のためには軽くでも運動することがとても大事!

厚生労働省のアクティブガイドラインでは、園芸などの軽い作業でも良いので、1日60分くらいの活動が推奨されています。60分の活動を歩数に換算するとだいたい8,000歩くらいのようなので、今回の研究結果から考えても、妥当な値だと思います。

ガイドラインには、時には走ったり、トレーニングをしたりと、筋肉に負荷がかかるような活動が含まれていれば、さらに良いと書かれていますが、今回の研究結果から考えると、そこまで筋力にこだわる必要はないかもしれません。

ですが、望ましくは軽めの運動を含めることはわたしもその通りだなと思います。下記の記事ではどんなスポーツが死亡のリスクを下げたかを調べた、私のお気に入りの論文を紹介した記事です。よかったら、読んでみてください。

もしも運動不足だけど、一人ではなかなか運動を続けられないという方は、ジムなどに通ってみるのもオススメです。ちょっとお金はかかりますが、将来の医療費をその分削減できると考えれば、その経費は出費というよりも、投資と言うことができます!

不思議に思うかもしれませんが、大人になってからのスポーツはとても楽しいです。ジムやテニススクールなどに通った経験がない方は、ぜひ一度、足を運んでみたらいいんじゃないかなと思います。

この記事を最後まで読んで頂きありがとうございました。

それでは。

参考文献

❶ Saint-Maurice, P. F., Troiano, R. P., Bassett, D. R., Jr, Graubard, B. I., Carlson, S. A., Shiroma, E. J., Fulton, J. E., & Matthews, C. E. (2020). Association of Daily Step Count and Step Intensity With Mortality Among US Adults. JAMA, 323(12), 1151–1160. https://doi.org/10.1001/jama.2020.1382
❷ Lee, I. M., Shiroma, E. J., Kamada, M., Bassett, D. R., Matthews, C. E., & Buring, J. E. (2019). Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women. JAMA internal medicine, 179(8), 1105–1112. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.0899
❸ 厚生労働省 アクティブガイド -健康づくりのための身体活動指針 LINK

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