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下高井戸のカレーとPERFECT DAYS。

皆さんはPERFECT DAYSという映画をご存知だろうか。
主演の役所広司さんが第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞に輝き、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートもされたことから、話題になった映画である。

先日ニュースで、東京のトイレを巡るツアーが海外の方に人気だと報道されていた。
インタビューを聞けば、PERFECT DAYSを観て、興味を持ったんだとか。
これがきっかけで、まだ上映されていることを知り、観に行くことにしたのだ。

結論、私はとても面白い映画だと感じた。
トイレ清掃のおじさん。
その日常と、彼を取り巻く人々を2時間かけて映し出す。
東京のトイレと、その影。
彼が見る光と木漏れ日。
フィルムを通したそれらが、とても綺麗で、輝いていた。

私が最も泣いたのは、主人公の妹との対話。
妹は「本当にトイレ掃除をやってるの?」と主人公に問う。
その問いかけには、裕福な自分とは縁のない仕事であるという、見下した視線が内包されていた。
それに対し、主人公は「うん。」と頷いてみせる。
恥ずかしさなどない、全く自虐的でない、ただ純粋な答えと笑顔だった。
周りの評価や地位ではなく、自分自身が満足できる仕事、ひいては生き方を、彼はしていた。
それがとても素敵で、胸を打ったのだ。

その後お腹がすき、近くのレストランへ。
マップを検索すると「フランスカレーとキッシュ プチメゾン」の文字。
気になる。
ということで、来訪。


フランスカレーは阿波尾鶏がプリプリで、旨みが溶け出している。
野菜も水分を飛ばすことで、甘みが出ていて、素材の味が存分に生かされているのを感じる。
後味に辛さはあるものの、マイルドでフォンドヴォーのコクもあるカレー。
フランスカレーというネーミング通り、普段食べるカレーとは異なる、新鮮な味だった。

デザートはプディングディプロマット。
恐らくラム酒?に付け込まれたドライフルーツがオシャレな1品。
フルーツもオレンジ、いちじく、レーズンなど様々で楽しい。
プリンは気泡もあり、固めのタイプ。
そこにカスタードのような滑らかなソースがよくあう。

食べている私たちを見る店主のおじいちゃんの眼差し、最後店を出る時の「ありがとうございます」という声。
それらがとても優しくて、映画の主人公と重なり、グッときてしまった。

身の回りに、尊敬できたり、好きだなと思う人がいる。
今日の映画の主人公や、店主のおじいちゃんもその1人だ。
私は、彼らの生き方が好きなのかもしれないと今日思った。
自分が好きだと思える生き方ができる、そんな大人になりたい。

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