本能はたぶん働かない

自分でも何がしたいのかわからない。趣味という趣味もなくなりただ毎日を消化していく。無駄だと思った日は一日もない。『人生が長いから』

長いってどのくらい?目が覚めた時には冷や汗をかいていた。巨大なマンションがゆっくりと倒れた。中にいた私達は、本能だねといいながら頭を必死に守り笑っていた。ゆっくりと傾いた時、恐怖や絶望ではないもっともっと不確かなものが押し寄せてきたのは確かだった。今日も何でもない一日が始まる。そう思うと再び押し寄せてきそうなそんなものだ。でも、それにつぶされることはない。夢でも現実でも、笑いながらまた帰路を辿る。

だから私は大丈夫。無意識の中に放り込まれても笑って帰る場所があるのだから。きっと波乗りだ。一刻一刻と流れていく波にのまれることなんて一度もなかった。昔から肌がほんのりと黒いのも頬がこんがり焼けてしまっているのも、きっと前世では立派な波乗りだったから。夏は嫌いだけど夏が好きだと言い張る所も今やっと腑に落ちた。

一輪車に乗れなかった。ある雨の日に駐車場で一人で黙々と練習していた日を思い出す。努力家だねと幼い頃から言われ続けていた。今思えば何を根拠にそんな事を言っていたのだろうか。新手の洗脳教育か何かだ。そう言われ続けていたから雨の日の駐車場の光景を鮮明に記憶している。今まで大人に言われ続けていた事実無根の言葉がやっと自分とマッチした瞬間だったからであろう。

そんな事を思い出しながら支離滅裂な文章を書く平日の昼下がり。

全く何をやっているんだろう。この部屋が傾いた時、果たして本能が働くのかわからないくらい。どうか助かりますように。


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