読書日記3「本日は大安なり」-辻村深月


お仕事小説が好きな私は、ウエディングプランナーの話だというこの本を興味に持って読むことにした。読む前に「タイトルをどこかで聞いたことあるような…」と思ったが、NHKドラマ化されていたからだったらしい。このことには解説を読むまで気づかなかった。

以下、考えたことだ。

①自分に見えている他人はその人のごく一部に過ぎない。

この物語において結婚式を挙げるカップルは何かしら問題を抱えている。最初は私と仲良くなれなさそうな人物が多いと思っていたが、読み終えた後にはその人に興味が湧いて会ってみたくなるようなお話だった。それは、物語を通して登場人物を色々な視点から見れたからだと思う。好き嫌いがハッキリと決めてしまいがちな自分にとって、人を一部分だけでネガティブに判断するのは良くないと改めて反省するきっかけとなるような本だった。

②複数の登場人物それぞれの視点
このストーリーは結婚式を挙げる人々またはその参列者とウエディングプランナーの視点がかなりの頻度で入れ替わる。自分はこのような展開のストーリーのテンポ感についていけなくなってしまうことが多々あるのだが、この話にはそれがなかった。それは一人一人のキャラクターが印象に残り、他の人の話が挟まっても前後が頭の中で自然に繋がるからなのだと思う。他にもそういう物語があった気がして思い出したのが有川浩さんの「阪急電車」だ。視点の切り替わりが多いこと楽しめるのは小説ならではだと思うので、またこういった作品を読むことにチャレンジしてみたいと思った。

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