精神安定剤の男友達

精神安定剤の人は周りにいますか?

声を聞くだけで気が楽になって、
辛い時に「あの人に聞いてほしい」と思って、
気が付いたら話そうとしていなかったことまで、つい話してしまっていたり。

今までかなりの人と関わってきたけれど、
私は幸運なことに、その人に3年前に出会うことができた。

自分で言うのも何だが、私は気を遣ってしまう方だと思う。昔から家族にも気を遣う。
明るい話題は「ねえ聞いて」と切り出せるが、相手を心配させてしまう話題は避けてしまう。
人に弱みを見せることを恥ずかしく感じる。

とはいえ、落ち込んだ時は悩みを聞いてくれる友人もいるが、こんな暗い話迷惑だろうという気持ちが勝ってすぐ切り上げてしまう。

そんな私が、泣きながら電話をかけられる人が今は居る。

出会いは男友達と電話している背後から聞こえた仲間たちのうち一人だった。
「良い声の人いるね」と言ったのを覚えている。
そこから友達を含めたり、含めなかったりで通話しながらゲームをしたり、ただ話したりという日々が続いた。

会ったことはなかった。
初めから、落ち着く人だった。
気遣いはできるし、面倒見はいいし、笑い声が豪快でつられ笑いさせてくれる。
「ごめん愚痴みたいになっちゃった」と言うと『そうかぁ?』と明るく言ってくれる。

話すはずのなかった相談事も、(言いすぎた)と思った時には『それさぁ〜』と真剣に相談に乗ってくれる。
イエスマンではなく、自分の意見を持ってアドバイスしてくれる。でも気持ちを尊重してくれる。お互い否定はしない。
ちょっと意見がぶつかると、2人とも「ごめん」と言う。そしてその後は改めて相手の意見を尊重しながら話し合う。

2回ほど会ったことはある。
会っても同じ。ずーっと話してた。SAでタバコとコーヒー片手ずつ。永遠に話してた。

そんな彼が音信不通になったことがある。
生きてるか本気で心配だった。

メンヘラみたいだけど、「生きてる?」と何度か既読のつかないメッセージを送った。
彼は両親を亡くしてる。決して良くない亡くし方をしてる。それを私に打ち明けてくれたことがあった。彼にはただ生きててほしかった。

結局生きてた。全く知らない土地で生きてた。
全然会えなくなったけど、元々よく会ってたわけじゃないから、生きてるならいいと思った。

でも彼すっごく病んでた。

久々にできた電話では、『久々に普通の人と話せて嬉しい』と言われた。どうやら彼を取り巻く今の環境は普通ではないみたい。でも私にはたいして救ってあげることはできなかったように思えた。その後も返信が途絶えたから。

ただその後、私が病んだ。
職場の関係で完全にやられてしまった時期があった。

誰かに助けてもらいたくて、全てをさらけ出せる人がその人しかいない自分のテリトリーの狭さを感じて、でもどうしようもなくて発信した。

なんと音信不通だった彼なのに、数時間後には何度も着信をくれた。
嬉しかったけど、私が病みすぎていて、人からの連絡に返せなくなってしまっていた。
極端な話、1秒前に自分からかけていても、1秒後に折り返されたら出られない精神だった。
自分のタイミングでないと話せない、話したくない、見たくない、返せない。そんな我儘な精神状態だった。

その後、私は環境が変わり回復したのだが、真っ先に回帰報告をしたい相手は『話す気になったら電話ください』とメッセージをくれていた彼だった。

やっぱり精神安定剤だった。
不安定な時に頼りたくなるし、彼と繋がっていることでまるで帰る場所があるような安心感。


昔からの彼を知ってる中で、音信不通になった彼にまだ連絡をするのは私くらいのようだ。
この間久々に話した彼は、優しく私の味方でいてくれたけど、彼を取り巻く環境はさらに悪化していたようで、以前のように「あひゃひゃ」と笑ってくれることはなかった。

最後は、「また飛ぶかも、東京戻るかもなあ」と言っていた。
「生きててくれたらいいよ、本当に大切だから。」
と言うと、
「またツーリングするのアリだなあ」
と本当に羨むように言っていたのが印象的だった。

また次いつ連絡取り合うのかわからないけど、
次は2人とも元気になったタイミングで電話して、昔のように「あひゃひゃ」に釣られ笑いしたいな。

私には唯一の精神安定剤。
相互作用だったら嬉しいけどな。
いつも救ってくれてありがとう。




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