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間の悪い人生

私はコロナで夫と子供が24時間家にいることに心底疲弊している。

食欲もない。しかし夫が、「夕飯はベランダで焼肉パーティーをしたい」と言い出した。

嫌だ。肉をそんなに食べたくない。そもそも肉高い。ベランダ?苦情とか来たらどうすんの?向かいのマンションから見えるけど。子供ウインナーしか食べないけど?こんな事態の時にこういう提案するメンタルがすごい。合わない。コロナで生き残るのはこういうタイプの人なんだと思う。

スーパーに買い出しに行く。スーパーも公園もビクビクしながら行く日々。スーパーの滞在時間を減らすべく買い物リストを持って入店。焼肉用の肉が量り売りしかない。肉売り場の人が出てこないので別の売り場の商品をカゴに入れ、肉売り場に再び戻った。

肉売り場の店員さんがいたので声をかけたら「少々お待ち下さい」と言われた。先に肉売り場にいた男がちみちみ肉を量り売りで買っていた。5分くらい待った。今考えればこの時パッケージングされてる肉をもう適当に買って帰ればよかった。男の頼んだ少量の肉が包装されるのをいくつも眺め、ただただイライラしていた。

そして、やっと私の番になったので「これを5切れ下さい」と言った。店員さんが肉を測り終わった所で、私は次に買う肉を指差し、「これとこれを下さい」と言った。

「はぁぁぁあぁ??!?!!」

突然。瞬間沸騰。一瞬のことで自分が怒られたのかすら判断できなかった。肉屋で肉買ったのに怒られた。そもそも私は焼肉なんか食べたくない。胃が弱っているからお粥がいい。誰とも喋りたくないのに量り肉を買うしかなかったんだ。

多分店員さんは前の男がちみちみ買ってた上に私もちみちみ買おうとしてたから怒ったのだろう。このご時世に?!肉ちまちま量らすなや!ってことだと思う。ごもっともだと思う。

あまりにも鬼の形相で睨まれたので「もういいです」と言ったら「はぁぁぁ?!いいですけど?、これ?!は?!これ?!5つ?!」と怒りながら聞くので買うしかなかった。

最初に肉を複数指定すればよかったのか?何で怒られているのか訳がわからない。子供としか会話していない、引きこもりの私は思考が停止していた。私はただ謝った。「申し訳ありません」と言い肉を受け取った。レジを済ませて悶々と店を出て歩いた。人と距離を取りながら悲しい気持ちで歩いた。

マンションのエレベーターを待ってる間、誰も人がいなくなったので涙が出た。大っ嫌いな夫が在宅勤務でずっと家にいることのストレス。衛生観念の違いで喧嘩にもなった。そして毎日毎日子供とずっとずっとずっとずっとずっと過ごしていた我慢やストレスが、肉屋に怒られた事により限界を迎え私は泣いた。

家についてすぐシャワーを浴びた。泣くのをごまかすためだがごまかせていない。夫がどうしたと聞いてきた。全てお前のせいだよ!!!!クソが!!!

お前さえ焼肉なんてつまらない事を言わなければ私は普段買わない量り肉売り場に行かなかった。パック肉で十分なのに。恨みしかない。私がマッチョな男ならあの店員は私に怒らなかっただろう。タイミングも悪かったんだろう。いつだって夫のかわりに私がババを引く。

それは昔、新婚旅行でもスペイン人に「写真撮ろうか」と老人に聞かれた時、夫がガン無視してそれに怒った老人は私にワインをかけた。私の服は赤ワインまみれになった。

私は夫の身代わり人形なのか?今でもずっと恨んでる。私のなんてタイミングの悪い人生。

夕方夫がランニング中、舌打ちされたそうだ。「君の気持ちが少し分かったよ」と言われたが私の辛さそんなもんじゃない…。焼肉のセッティングを私は泣きながら放棄した。

一昨日はイライラしている車に轢かれそうになった。本当につらい。あと体中がかゆい。社会全体がイライラしている。先が見えない。不安しかない。



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