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精神科探訪①

相性の合う精神科の先生を探すのは大変で、結局4ヶ所受診したという話。

スマホが便座より汚いという話を聞いても何も思わない適当な性格の私には、精神科は一生縁がないものだと思っていた。

2019年7月末。私は自分の心と体がおかしい事を認め人生で初めて精神科を受診した。

事の始まりは2019年6月初め頃。夜寝れなくなった。うとうとして眠りに入るぞ、と思った所で起きる。息苦しくなりハアハア言いながら必死に酸素を取り込もうとしても、ラップを口に当てられているような息苦しさを感じた。

その他にも頭痛、吐き気、めまい、胃が気持ち悪い、吐く前の変な味の唾液が出る、倦怠感で動けない、昼間に1-2時間寝ないと夜まで育児家事する体力が持たない、無気力、イライラする、落ち込む、スマホのスクロールで酔う、過食と拒食の繰り返し、足がだるい、お酒やコーヒーが不味い、定期的に行っていたフィットネスに体調不良で行けなくなった、太陽や照明が眩しい、まだまだある。不調のおせち三段重。

スマホで鬱症状チェックをすれば高得点だった。単なる育児疲れだと思っていたが、調べれば調べるほど、欽ちゃんの仮装大賞で点数が上がるように、「もしかしたら精神科行ったほうがいいんじゃない度」はあの目盛りが上がる音と共に高まった。寝れない日が続き、ついに20点満点のファンファーレが鳴った。

ようやく重い腰を上げた。家から一番近いという安易な理由で、ネットでの評判が芳しくない、近所の精神科に電話で予約した。なんとまあ、1ヶ月先しか空いてないと言われた。この名前の分からない不調があと1ヶ月続くのか、とショックを受けながら耐えた。

やっと1ヶ月経ち、ヘロヘロで病院に行った。まず受付の女性がAIか?という棒読み無表情。精神科受付、きっと大変だよな。働く側からしたら決まり文句の事務作業よな。でもつらいな。

待合室に座ると、先に座っている人たちの首は皆うなだれている。暗い…私は私で椅子に座っている間、訳もなく勝手に出る涙を拭きながら何かに焦りながら順番を待っていた。

ここ一ヶ月、理由もないのに突然涙が出る。公園の砂場で子供が山を作っているのを眺めては涙し、家で夕飯の支度をするために人参を包丁で切りながら涙する。子供に理不尽に怒鳴ってしまう事もあり、後で謝りながらまた泣く。

受付で鉄仮面に渡された紙に書かれた、思い当たる症状にチェックをして下さい、と並べられた項目。…既視感。私の不調メモそのもの。寝られない、不安で仕方ない…チェック項目を鉛筆ではねる度に「あー私やっぱ鬱かーそうなんだろなー」と思わされた。

待合室で1時間ほど待ったのち、妙齢の物腰の柔らかい看護師さんに初期設定的な問診をされた。居住歴、職歴、家族構成等を淡々と答え、超平凡な私の履歴書は5分で終わった。

そして更に1時間待ちようやく名前を呼ばれた。予約したはずなのに結局2時間待たされた。予約の意味知ってんのか。既にこの時点でイライラしていた。

やっと先生に会えた。おじいさん。

ネットの評判って当てになるんだと思った。こちらの陳情の1割くらいしかカルテに書かない。しかも書くの超めんどくさそう。つら。

たった5分くらい話しただけで

「あー。鬱ですね。重〜中程度の。」(小声)

「産後のホルモンバランスの乱れかな。(小声)」

それ私が言ったやつ。態度わる!声ちっさ!育児の大変さ分かるんか?私の症状に寄り添った最適な薬出せるんか?と思うも、心が滅茶苦茶に疲れているため怒る気力はなく、「はあ…そうですか」と力なく返事するしかなかった。

それでもこのじいさんの処方する薬は飲みたくないと小さな抵抗で、薬ではなく漢方を希望した。(漢方も薬だけど。)適当小声診察(私感)で4千円超も鉄仮面に支払った。高い。納得いかない。建前で予約したが2度と行かなかった。

しかし適当に処方されたと思っていた漢方薬が思いのほか効果があった。うっかり漢方を飲み忘れようものなら、2日後くらいに気持ち悪くて寝込む。なので苦いけど朝昼晩欠かさず飲んでいる。



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