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最愛





君のことを世界でいちばん嫌いな夜がある.








襟足を緑にぶち抜いたって

私は理想の自分にはなれませんでした


きっと

それは顔をいじれど

声を変えども

私を私たらしめる醜い髄がある限り

一生手に入らない






それは愛でした








そもそも愛されなかった私に貴女に

自分の愛し方などわかるわけもなかった



だから貴女は醜さをひとつひとつ治しても

ずっと切なかったのでしょう








救われると思った

ほんの少しだけ


自分を愛せると思った

ほんの少しだけ


思い描いた希望の粒は

叶えた瞬間にゴミと化した


















気がつけば

さっきまで私だった 私の一部だった

緑色の蛋白質の死骸がそこに横たわっていました


ひとりでかわいそうだったので

焦げ茶色の蛋白質の死骸を幾つか添えたのでした



死骸は幾つ集まっても

力なく寄り添うだけで

無力で惨めでした



あの日の私達のように.















空いた穴が幾つもあって

その都度誰かで埋めようとするけれど

貴女の代わりが居ない様に

彼の代わりもまた居なくて


君がいなくなった今

これがもう二度と埋まらない穴だと知る







貴女は自分を愛したくて死んだのですか?











君は知らない

私が貴女の誕生日ケーキの内側の

鮮やかなラズベリーソースよりも

赤黒いリップをしていることも


君は知らない

私は相変わらず側頭部を短く刈り上げては

お揃いだねと言って寂しく笑うことも


君は知らない

最低な私はまだ生き延ばして

2024年にいることも












君のことが 世界で1番嫌いな夜がある

何度も 何度も.




繰り返す









繰り返す

















日々.














君の欲しいものは

なんですか



僕が欲しかったものは

なんですか






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