小児整形科 ● モノローグ

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「小児整形科」

とある病院の小児整形科の診察室。
医師が母親にすべての国民の顔を統一する「国民外見平等法」の説明をしている。

顔は決まりましたか？
・・・そうですよね、迷いますよね。ちなみに出生届は？・・・良かったよくいらっしゃるんですよ、出生届を出してから小児整形科に来られる方が、当院では名前より先に顔を決めるのを推奨しておりますので。
まあ、法律的にはどちらが先でも良いのですけれど、名前は自由につけられますが外見は２タイプしかありませんからね、先にかっこいい名前で出生届を出したのに顔は非イケメン型にしてしまうと後々お子様が後悔することになりますから、お子様の顔の選択は慎重に選んでください。

・・・いらっしゃいますよ。当然、最初は皆さんイケメン型を選びます。そりゃあそうですよね、外見がよいに越したことはありませんから。国民外見平等法が施行されてから、まだ３年しかたっていません。
現在、男女ともにいわゆるイケメン型が多いとされていますが、当院では、非イケメン型を強く推奨しております。
外見の善し悪しによって起こる、いじめや差別、職業や収入の格差、自信をなくし、恋愛や結婚を諦めてしまう人、そんな生まれながらの外見による不平等を無くすために作られたこの法律ですが、本当に平等なのでしょうか？

先程も言いましたが、多くの親御さんがイケメン型を選んでいます。世の中にはイケメン型で煽れるでしょう。そうするとどうなると想います？今まで以上に内面が問われる世の中になるということなのです。
半端な優しさじゃ優しいなんて思われません。頭の良さも、運動神経もずば抜けてないと目立てない超内面格差時代がやってくるんです。
競争率の高いイケメン型を選んだお子さんは・・・と言っても選ぶのは本人ではなく親なんですが、一生自分磨きをしなければなりません。できの悪いイケメンはどんどん淘汰されていきます。クラスメイトに名前すら覚えてもらえずに埋もれてい行くイケメン達。外見の文句を言われない代わりに内面が全否定され、やがて心が病んでしまうでしょう。

では、非イケメン型はどうでしょう？
個体数の少ない非イケメン型は、よくも悪くも目立つ存在です。私はデメキン型とよんでいます。金魚のデメキンです。黒く目が出っ張っているデメキンは水槽の中で目立ちます。金魚すくいでもなぜか狙ってしまうそんな経験はありませんか？少ないという圧倒的な個性が、デメリットをかき消すのです。多少性格が悪くても愛される存在になることでしょう。そういった観点から当院では、非イケメン型を推奨しております。決めるのは、当然親御さんなので無理にとは言いませんが・・・

では、顔は決まりましたか？
・・・かしこまりました。イケメン型ですね。