ちょっと背中を押された話

■続けるというのは大事だなって
今日、下北沢にあるピカイチという喫茶店で古い役者仲間(と言っていいのでしょうか)の皮墓村さんのソロネタライブを見てきました。

皮墓村さんは15〜7年くらい前、僕が当時主宰をしていた劇団に客演してもらっていて、それ以来あんまり会うこともなかったのだけど、つい3年くらい前から、よく会うようになったのでした。再会のきっかけは忘れてしまったけど、若い頃にはわからなかった皮墓村さんのすんごいパワーの前向きさやSFやQUEENの知識の深さを知って、「こんな人だったんだあ」と驚きました。皮墓村さんは以前からお笑いの方にも力を入れていて、グループなどでお笑い活動をしていたようです。この辺りは僕は全然見ておらず詳しくないのですが、その後、しばらくおやすみをしていました。僕がまた会うようになったのはそのくらいの時期だった気がします。さらに一念発起したのは16年の暮れ。「R-1を目指します!」と言って、17年1月からはほぼ月イチでライブを行い、毎年12月に開催されるR-1予選へ挑むためのネタのブラッシュアップを重ねていました。

昨年ソロライブの初回、それ以降の数回を見た時は、なるほどー、という感じというか、ネタと本人のズレというか無理している感じが見えてあんまり笑えなかったのを覚えています。ネタを誰に向けているのかもわからなかったので、好きとも嫌いとも言えないというか。そうしてあまり足を運ばなくなってしまいました。

で、つい先月だったか今月頭だったかに皮墓村さんから「R-1に出られなくなるかも知れない」というDMが来ました。僕は事情をあまり知らなかったのですが、調べるとR-1の出場条件が大きく変わり、予選挑戦者が大きく絞られることになるようです。「目標を失ったわたしのネタの供養を見届けてやってください」(大意)とDMにはあり、それは見ないわけにはいかないでしょう、ということで、見に行きました。下北沢ピカイチ。

5つほどのネタで計30分ほどやったのですが、どれも純粋におもしろかったです。「おもしろい」という言葉はちょっと波風立ちそうなニュアンスが含まれていますが、笑ったし予想外だったし、話が転がっていったし、昨年見てどんな言葉をかけていいのかわからなかったネタとは全く違って、「好き」でした。本人も話していたのですが、何かの憧れややりたいネタを無理にするのではなくて、今の自分自身がやれるものをおもしろくやれたら、ということでネタを作っていったらしいのです。昨年僕が抱いていた「ちょっと無理している感」が今回はなかった、それは意識していたんだと納得しました。しかも「これは途上で、この先もっともっと」と感じられました。とても気持ちよく会場を後にできました。

緩慢に続けているわけではなかったんだと思えて、すごいことだなあと、大いに励まされた次第です。そもそも僕は大のお笑い好きというわけでもないし、好きな笑いは大変偏っているのですが、いろいろもっと話したいなあと思いました。

世の中では派手なことや大きなことがよく見えるし人を集める。でも、本当は大半が身の回りの小さなことの積み重ねでできていて、そういうことの蕾が急に開くこともある。大きいものや名前の通ったものだけじゃなくて、いろんな尺度のものを見つめることに新ためて敏感になっていこうと思ったワケでした。

■note更新していきます。
ということで、こんな感じで、書き物をちょくちょく続けてみようかなと思いました。

■ほろびて
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