何にしてもサクッとはいかないもので。

 わりかし最近とてもうれしく気合いを入れようとおもうこととかなり残念なことが交互にやってきているのだけど、そういう時に時間をとられるのは残念なことがやってきたときでそういうときにどうしたもんだろうと考えているんだけど、とてもお手軽でけっこうサクッとうまく行くのはこれしかないでしょう、というのは、外出する、というもので、まあたいていのことはこれで気分が変わるのでたいへんオススメ。人間っていうのは誰でも落ち込むというか気分が沈み込むときはある(のでしょ?)ので、ある時期、もやもやっとするときにどうにかならんもんかとネットを調べてたらこんなことばが載っていた。

 「沈んだ気分は一気に好転することはなくて、一度フラットになってから上昇する。良好な気分が沈むときも同じで、フラットを必ず通過するので、自分がまずいなと思った時はフラットに戻す感覚を掴むのが重要」

 これはネットに載っていたコラムを今ぼくが自分で理解している程度の記憶を元に書いたのだけど、全くそのとおりだなこれはほんとに、だからぜひとも気分の乱高下がひんぱんに訪れる方は「フラット」をまずは意識してみるといいかもしれないなって。

 心の処方箋になりそうなマンガがあって、『スキップとローファー』(高松美咲/講談社)ってマンガで、これは地方から都内の高校へ入った女の子・みつみが「空気」や「自意識」「他者」と向き合っていくマンガで、一見ヒリヒリしそうなテーマなんだけどそれを主人公の女の子は自分なりに軽やかに飛び越えていって、「見た目」でつい遠慮してしまっていた華のある同級生との会話に、一歩踏み込んで行くことで、その子の違う面が見えてくるとか、自分が大事にしているものを、かけがえのないものを誰かに心ないことばで踏みにじられたときに、それでも「自分はこれが好き」と笑顔でいってしまうところとか、言ってしまえば日常系ともいえるかもしれない、ささいなできごとのつみかさねの中に、みつみの心の清らかさが圧倒的にまぶしくなって、とてもうれしくなって、泣いてしまう。先週第2巻が出たのでみんなに読んでもらいたい。
 主人公のみつみはいわゆるマンガ記号的なかわいさがなくて、目は細いし表情はとぼしいしなんだけど、そういうのをコンプレックスって感じるかどうかは本人次第だし、少なくともどんなひとだって何かしらのコンプレックスは読んでいるこちらがきっと抱えていて、ほかのだれかとは共有しづらいものだったりするから、こういう魅力的なキャラクターを見たときに惹かれてしまう。自分もこうあれかし、と思うのはすてきな証拠。

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