応援上映に行った話し

4月下旬、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を映画館に見に行った。1月下旬からやっているから、3ヶ月も映画館にかかっているというのはそりゃあもう大ヒットしてるのだ。ここでさくっと白状すると『SEED』はドハマリしたのだけど、『SEED DESTINY』は見ていない。とはいえゲームなどで登場人物は知っているし、『Zガンダム』の応用としてステラがどのような人物かなどは把握していた。シン・アスカとキラ、アスランとの主人公視点の変化など表面をなでた感じ。まあそんなこんなも随分過去の話だ。

で、少しがんばってDESTINYを履修しようとしたのだけど少し自分の状況もありなかなか難しくて、全50話を見終わる前に映画館の上映が終わりそうだなと思った。じゃ、とりあえず行ってみるかと、重い腰を上げた。行こうと思った日、ちょうどいい上映回が応援上映だけだった。応援上映といえば『KING OF PRISM by PrettyRhythm』で体験していたから、どういうものかは知っていたけど、SEEDの新作でどんな応援が?と何にも想像できないまま映画館に来てしまった。

グランドシネマサンシャイン池袋のそこそこ大きなスクリーンで、そこそこ人も入っていた。いや、かなり入っていた。3ヶ月経ってるのにすごいなあと驚きつつ、作品も評判がいいしたのしみだった。

作品は非常によかった。非情な世界だ。SEEDではニコルやマユラ、ジュリ、アサギ、ミゲルや、たくさんのキャラクターが散っていった。あの時代をくぐり抜けたキラたちが関わりの中で葛藤しながら世界と対峙する。ひとつひとつのセリフが刺さる。

さらによかったのは応援上映という形式だ。アスカが自責の念にかられれば、客席から「大丈夫だよ〜」とか、「そんなことないよ〜」と気遣いの声が届く。力強い一言セリフではみんなが合わせてその言葉を叫ぶ。良からぬ企み事をするキャラクターがいれば「やめな〜」とか「ふざけんな〜」と軽めの罵声が飛ぶ。キャラクターカラーに合わせて場内あちらこちらでペンライトが灯り、揺れる。場内がドライブしていた。ぼくはしたたか衝撃を受けて、ちょうど心のやわらかい場所にすぶずぶ来てしまったらしく、ぼろぼろ泣いていた。物語ももちろん興奮し、感動した。同時に会場のそれぞれの声やペンライトがありがたかった。スクリーンの向こうでキラたちが死にそうな窮地にいても、こちらから軽めの「大丈夫だよ〜」という声が聞こえたら、大丈夫だなって思えてしまう。いや、実際大丈夫なんだけど、でも、その時に”効く声”はあると思った。

とにかくありがたい経験になった。作中でアスランが放つ言葉がぼくの体をぶっ刺したわけだけど、それは端的に端的だった。クライマックスあたりのセリフなので、このあと、2行下段でネタバレしますね。ご注意ください。

「生きる意志だ」

情けなくもその前の会話の流れを忘れたのだけど、決闘の中で放たれた言葉で、勝利の条件だったかな。絶対条件じゃなくて、心意気としての条件を交わし合っているときだったか、違ったかもしれない。命を賭けた戦いのときにアスランが言った言葉だ。シンプル大事なことだよな〜って思った。あまりにストレートで陳腐といえば陳腐だけど、直球も大事だ。シンプルに。

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