あたしは何度でも顔を変える 第2話【創作大賞2024 漫画原作部門応募作】


第2話

夢の中に入ったまゆこ。夢の世界はふしぎな感覚がした。

窓の外は闇。そこは教室の中だった。

まゆこが構内を探索していると、まだ寝ているエミリを見つけた。まゆこはロッカーからロープを持ってきてしばりつけようとしたが、ロープをとった瞬間、後ろからエミリに首を絞められ、気絶する。

次に起きると、体はしばられており、エミリは「最後だから」と話し始めた

エミリはかつてSM嬢だった。
ある日、なじみの女性客が「この舌があれば、他人の髪の毛をなめると相手の夢の中に入れるんだ」といってスプリットタンの舌を見せた。

スプリットタンの女は「わたしはかつて男だったんだよ」と笑い、夢の中で女を殺し、目をくりぬいたらその目が自分のものになったという話をした。

それからいろんな女の夢に入り、パーツを奪った。
この顔はとっても気に入っている。わたしの最高傑作だ。

スプリットタンの女が楽しそうに酒を飲みながら話す。

エミリは、面白半分で女に髪の毛を渡した。そして、わたしの夢の中に本当に出てきたら、信じるよ、と言った。

その晩、エミリの夢の中には本当に女が出てきた。

エミリは女を刺し、女の舌を奪いとった。

目覚めて見ると、エミリの舌はスプリットタンになっていた……。

それから、誰のものか分からない髪の毛をつかって、夢に入り、相手の片目をとった。

そのうち、エミリは試してみたくなった。

『夢の中で相手を殺したら、死ぬのか』

そして、デリヘル・みらくる倶楽部を呼んだのだった……。

エミリは話し終えると、「耳……かしらね。ほかのパーツはブスすぎるし」と言って、まゆこの耳に―――かじりついた。

まゆこは絶叫し、死闘の末に隠し持っていたナイフでエミリをめった刺しにする。

まゆこは耳から血を流しながら、「夢のくせにこんなに痛いのかよ……」と言って、ふらふらと立ち上がる。

そして、ギョッとした。エミリの耳にはどでかいピアスの穴が6個ついていたのだ。

それはまぎれもなくまゆこの耳だった。

まゆこはエミリに近づき、ナイフでエミリの指先をそいだ。 ―――目覚めると、ラブホテルの部屋だった。

エミリは死んでいた。

まゆこがエミリのスマホをとり、指紋認証すると、問題なく入ることができた。

まゆこの指先はエミリの指先になっていたのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?