季節は巡りいちねんは思うよりほど遅く瞬きよりはやい
寒いと輪廓がはっきりする自他境界のボヤけもなくなるわたしはわたしだとわかるしあなたがあなたであることもまた然り
今年の夏はあまりに「自他境界が溶けるのは危険」という言説を唱え合うようなことが多すぎて、たぶんあなたもそしてわたしも踏みとどまれたと思うとてもそれはまるで互助会のように生き延びましたね
順番を間違えたなんてことはよくある話で、そう、例えば雑木林の中にいるときに出会ってしまったことや
もっとはやくどこかで交差していたら現在のありかたが絶対的に違っていたこともそれがぼくたちの関係性や時空をぐにゃぐにゃと歪めてしまうことをあまりにも認めたくないというたったそれだけのことですれ違う人生が、仕方ないで終われないたくさんのこととして眼前にあって避けられなくてそのまま受け止めるしかなかったように
そもそものスタート地点がもう違っちゃってただなんて言ったって遅いことや
あと1年はやかったらきっと許せてたかもね
時間はあっという間に経つとはいうものの今年はやたらと長く思っていたのに10月も折り返していて
2024年はじまって8月くらいまでは10年くらいに感じるほど長くて長くて長くて
どんなにやり尽くしてたって過ぎなくて
悔しくてやるせなくてあほらしくて殺したくて
それなのに気づけば夏から今日まで突然加速して
時間の流れのバグに巻き込まれている、ことしはなんだか可笑しいよね
そのなかに戻りたい夜がなんどもあって、戻りたいということはもう2度と手にすることのできない時間だからそう思うわけでそんなことをまだやっているのかとそんなことを何度も繰り返していったいなんになるというのかわからないまま
或いはわからなくてもいいやと放り投げてやり過ごすことは不健康だとわかっていたとして
戻りたい夜のことをおもいだすと、過ぎたことの残酷さだけがかまいたちみたいに頬を引っ掻いて走り去るの、痛いね
そういうところだけ大人になった顔をしてやれやれみたいなフリをしていなきゃきみもあたしもおまえもこころが引き千切れるから
あたしときみとは違うからね
ひとは同じ場所にに留まり続けることができないことを知っているし
それは前に進むとか成長するとかそういうのとは別の話で
ひとつ処に居続けることは自他ともに首を絞めるだけだよってことを
でもそっちの方が楽だからね、ぬるま湯だしってそういうことを自覚しているかどうかの方がずっと大切だと思うから
その先にあるのがのぞむかたちの成長だったりするかもしれないけれど
自分を俯瞰して客観視できてなお自分の現在地がわかっていないといつかどこかで迷子になって帰れなくなるヘンゼルとグレーテルみたいにちゃんとめじるしを、樹海から抜け出す路を
成長を急ぐより方位磁針が正確であることの方が無自覚になりやすくて見失いやすいことに気づけたらそれが冬なんだよ
𝓢𝓷𝓸𝔀 𝓫𝓾𝓭