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【掌編修行】恩讐の夜を越えて【希里峰の苗床】

 いつもお世話になっております。
 虎徹書林所属文筆家の希里峰です。

 いつもはボツネタを供養する【苗床実験場】ですが、掌編修行(刺激が強いお話ばーじょん)もやってみよう!という事になりますと、掌編小説になりきれない失敗作そのものを供養する場にもなるようです。

 二回目にしてやっちまったぜ……な、掌編修行。
 ご興味ありましたらば、どうぞご一緒に供養してやってくださいませm(__)m


今回のボツ小説

 今回の掌編修行、どれだけ推敲しても1000字の枠に収めることができませんでした。1990字、想定している掌編の約二本分に相当します。
 掌編としては失敗作、短編小説としては……どうなんでしょう。 相変わらず、読んで爽やか・ほっこり和やか、とはお世辞にも言えない話です。
 
 頭のネジの付き方がちょいと独特なお嬢さんの「再生の物語」といえばそうなのかもしれませんが……作り話とはいえ、案外こういうタイプの人って少なくなかったりして?と背筋がゾクッとなったら嬉しいかも(←業が深い)。


【短編怖譚】恩讐の夜を越えて

 もう、駄目だ。
 と、ベッドの上で呟いた。
 時計はもう二十三時を回った。知るか。

 私だって、努力したのだ。周囲への接し方を変えてみた。笑顔の練習もした。妙なセミナーにも行ってみた。
 でも、もう無理。
【頑張って生きる……こうまでして大事にするべき『命』って何?】
 今月、この問いが脳髄から浮かび上がってくるのは何度目?
 いつもなら夜明けとともに眠気の底に再び沈んでいくのを待てばいい。
 でも、もう面倒。
 だってもう、『命』の寄る辺たる、明日への希望ってのが無いのだから。

 今日、定時きっかりに、無職になった。
 私にできることは、ベランダから飛ぶか処方薬を全部飲み下すくらいしかなくなった。
 ならばと実家の両親と妹に、今の私の精一杯の真心を一筆残そうとしたけれど、書き損じてばかりいる。
 本当に駄目な奴。
 自らの命の始末も付けあぐねている。

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