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蝉は真面目に短い一生を生きて、一生懸命鳴くが、このすだちは一所懸命生きてきたのだろうか。

今日は98円で3つ入りのすだちがスーパーで売っていたので、そのうちの2つをスライスし、すだちうどんを作りました。

でも、あとあと考えるとすごいぜいたくなことをしていると思いましたよ。なぜかっていうと、これ勿体無いんですよね、すだちが。

うどんを完食したあと、スープの上にプカプカ浮かんでいるすだちをみて、作ってくれた農家の方とすだちそのものに申し訳なくなりました。その後、スープも完全に飲み干して、すだちも全て噛んで、絞りかすの状態になるまで口の中で噛みました。

個人の趣向・欲望と実りへの優しさは反比例するところがあります。昨今騒がれている食品ロスの問題も、食べ物が人間の欲望を満たすために加工され、その際のゴミがまずロスとして出てきてしまうというのが一点と、誰にも買われなかった食べ物が「人間様のたべもの失格」として廃棄されて出てきてしまう二点から発生しているのではないでしょうか。

「自分もそんな食品ロスを率先している人間と変わらないんだなぁ」

そんな風に思い、ずずずっと残った汁を飲み込みます。もしかしたら、ルーマニアのエミール・シオランだったらこの欲望、消費行動の中の怠惰を賛美してくれるかもしれない。

ああ、窓の外の闇夜からミンミンと声が聴こえる。

ID 78074735 © Contrail1 | Dreamstime.com
*ヘッダーのすだちうどんはイメージ画像です。


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