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BBC:「私は言語の誕生を目撃した」

言語がいかに誕生するかはいろいろな形で語られる。古代で有名なのはバベルの塔の神話だ。神が天にも届く塔を築こうとした人間を怒り、人間の言葉をバラバラにしてしまったというものだ。このように、人間は言語の起源について様々な形で考えてきた。 

今回、BBCでニカラグア手話の登場に関連し、BBCが面白いビデオを出していたので、共有したいと思う。

下記の記事はもっぱら、次のビデオを翻訳・解釈したものである。学術性はない。それに注意しながら読んで欲しい。

1980年代ニカラグアで、世界で最も新しい言語の誕生が目撃された。それはニカラグア手話である。

ニカラグアでは1980年代以前から聴覚障害を持つ子供たちは社会から孤立した状態にあった。彼らは元からわずかばかりのジェスチャーは使えたらしい。例えば「食べたい」とか「体調が悪い」など、単純なサインが家庭内で使われていたようだ。

1980年代になり、ニカラグアの教育方針が新しくなった。聴覚障害を持つ子供達も学校に入れられて、教育を受けることになった。しかし、誰もそのような子供達に教えるテクニックがなかった。東ドイツから教師を招いて、読唇術を使って教育しようとしたが失敗した。

ある時から子供達に変化が起きた。子供達がお互いにサインを送り合うようになった。そして、そのサインは急速に変化し始めた。それはあまりに複雑すぎて、教師たちは子供達が何をやりとりしているのか、子供達が何を考えているのか、ついていくことができなくなってしまった。最終的に教師たちはアメリカから言語学者のジュディ・シェパード・ケーグルを招き分析を依頼した。

分析は困難を極めた。例えば、子供達全員が全く同一のサインを使っているわけではなかったからだ。子供達のサインには「方言」があった。

子供達の中に、マエラという、目立つサインの使用者がいた。彼女のサインにはリズムや顔の表情による表現など、周囲が理解できる明瞭性が備わっていた。そして、彼女の周囲の子供達に明らかに理解されていた。「新しい言語」、ニカラグア手話の発見だった。

ジュディ博士はドキュメントを用いた手法や撮影により、人間の脳が言語を使って何をしているか、そのプロセスを追うことができるという。博士は絵を使って、聴覚障害の人がその絵をどう解釈するかを記録した。その結果、より若い、子供の方がジェスチャーに文法的な特徴を持つということがわかった。視覚的なアピールが大人よりももっと成熟しており、細かい。

これは言語が今まさに現れつつある、ということを示していると博士は考えている。


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