2018 山梨大学 医学部 看護学科 推薦入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」



小論文I

【漢字】表裏一体


【理由】

 「すなお」とは、偽りのないこと、ある事柄を隠さずにありのまま表に出すことである。「すなお」は一般に美徳と考えられており、また実際にそうである場合が多い。しかし、ある人が「すなお」であることが、必ずしもその人の素晴らしさを表すとは限らない。たとえば、授業や会議の最中に空腹や疲れを感じたとき、そのことをありのまま口に出したり態度で示したりする人は、常識をわきまえていないと評価されるだろう。また、不幸な出来事に遭遇し悲しんでいる友人に対して、「あなたに同情するが、私が当事者にならなくて安心している」と言う人は、思いやりのない人であろう。同様に、筆者が述べる「かたよらぬ心」、「バランスを失うことのない心」という規定にも二面性がつきまとう。二つの選択肢を前にして偏ることがない人は優柔不断であり、バランスをとることを心がけた結果、自分の欲望や気持ちを抑えてその場の空気に従う人はもはや「すなお」ではない。
 このように、「すなお」には二面性がある。誠実や正直になることもあれば、発揮する時と場所を誤れば自分勝手で強情だと見なされる恐れもある。したがって、いまが「すなお」になるべき状況なのかを的確に判断する力が重要であるが、これを身につけることは簡単ではない。以上より、判断次第でプラスにもマイナスにもなりうるという意味で、「表裏一体」という漢字を当てることができる。(581字)



小論文II

問1:

調査結果からは、自分の時間や家庭を大切にしたいと考える人が多い一方で、達成感や社会的貢献度、人から注目されることには多くの人が消極的であり、リスクよりも安定を選ぶ傾向が読み取れる。(90字)

問2:

 私はリスクを冒しても自分にとっての高い目標にチャレンジするという生き方に共感を覚える。たしかに、調査結果に示されているように、そうした意見が少数派であることにも十分に合理性がある。日本の経済が長く停滞し、産業面でも国際競争力が落ちている現状において、将来への見通しが不透明であることを理由にして、安定した職に就いて起伏の少ない人生を歩むことに対する欲求は強い。だから、社会的な活躍よりも、家族とともに人並みの暮らしを安定して送ることに重きを置き、あえてリスクを冒して何かにチャレンジしようと思わなくなることは理解できる。
 しかし、私は人生の目標がもっぱら安定して生きることに絞られることには疑問を抱く。安定した生き方には、下降や挫折も少ないだろうが、同時に、成長や成功も起こりにくくなる。そして、成長や成功のない人生は、ただ生きるために生きるということに等しい。リスクを冒してでも挑戦し続けるからこそ、成功や失敗とともに新しい見方の獲得や自身の変化にもつながると考えられる。(436字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?