2016年度 慶應義塾大学 経済学部 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


設問A.
リベラルな自由の概念とは、政府は国民の道徳には関与せず、中立的な権利の枠組みを定め、その中で人々が価値観や目的を自由に選ぶことができるようにすべきだというものである。一方で、共和主義的政治理論の中核は、自己統治の分かち合いに支えられているという考え方である。たしかに、この考え方自体はリベラルな自由との矛盾はない。しかし、自己統治を分かち合うためには、共通善について議論する必要がある。それゆえ、共和主義的政治理論の自由は、国民の道徳に深く関与する。その結果、共和主義的政治理論の自由においては、自己統治に必要な特性として、共通善について深く議論するための一定の市民道徳を国民の中に培う必要がある。
(299字)

設問B.
現在のわれわれが次世代のためにコストを払うことは、われわれの自由とは矛盾しないと考える。なぜなら、共和主義的政治理論の自由の観点に立てば、矛盾は生じないからである。仮にリベラルな自由の観点に立てば、個人の価値観や目的を重視するため、次世代のコストを負担することは許容されない。しかしながら、共和主義的政治理論の自由の概念に立脚すれば、次世代のためにコストを負担することは道徳の問題となり、個人の価値観や目的を超えた共通善として議論される。つまり、現役世代の自己統治を分かち合うための共通の道徳として、次世代のためにコストを払うことが、市民社会の共通善として認められると考えるからである。
(293字)

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