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2021年度 早稲田高等学院 一般入試 小論文 模範解答

 筆者によれば、「マニュアル力」が「考える力」や「創造する力」を妨げる理由は、「マニュアル力」を養う受験勉強においては、思考がパターン化され、一通りに決まった「正解」が存在するという固定観念が植えつけられる恐れがあるからである。たしかに「マニュアル力」は、課題として与えられた知識やスキルを効率よく身につける力であり、「考える力」を身につけたり、「創造する力」を発揮するための基礎にもなりうる。しかし、出題者の意図によって決められた一つの答えが用意されている受験勉強の問題ばかりを解くことで、私たちは、問題には決まった正解が必ずあると思い込むようになり、その結果、人生や実社会のなかで出会う正解のない問題に取り組む勇気と想像力が奪われる。そうなると、これまで疑問に思われていなかったところに問題を見出し、根本にまでさかのぼって問題の本質を突き止める力である「考える力」は育たず、独自の答えを編み出す「創造する力」も発揮できない。また、受験勉強には制限時間があるので、長時間ひとつの問題にじっくり取り組むという集中力が身につかないため、これも「考える力」と「創造する力」の育成を阻む要因である。

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