2018年度 早稲田大学 スポーツ科学部 一般入試 小論文 模範解答

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 じゃんけんの選択肢に「キュー」という選択肢を加えた新しいゲームを「キューゲーム」と呼称する。キューゲームの目的は、これまでのじゃんけんに多数決の要素を加えることによって、参加者の「数の力」もゲームにおける勝敗の要素とし、多数の参加者がいる際に、スピーディーに勝敗を決することにある。
  キューゲームのルールは、以下のようになる。キューゲームにおいては、グー、チョキ、パーのいずれの選択肢よりも、キューの選択肢がもっとも弱く、他の選択肢に敗北するものとする。しかし、三種の選択肢を出した人よりもキューを出した人の数が多ければ、キューを出した人の勝利となり、キューを出した人が他の選択肢を出した人と同数あるいはキューを出した人の数が少ない方が負けとなる。たとえば、5人でじゃんけんを行う場合には、二人がグー、チョキ、パーのいずれかの選択肢を出したとしても、残りの3人がキューを出せば、この3人の勝ちとなる。しかし、3人がグーチョキパーのいずれかの選択肢を出し、2人がキューを出せば、キューを出した人の負けとなる。
 キューゲームでは、参加者どうしがゲームごとに共闘を図り、キューを出すことを約束しあって、他の参加者に勝利することができるようになる。したがって、勝敗に多数決の要素を採用することによって、参加者の「数の力」を頼みにできることや、他の参加者と共闘の約束をするか否かという心理的な駆け引きも生じ、ゲームを複雑化させる点がこれまでのじゃんけんにはない魅力であるといえる。また、参加者が多数の場合、キューを出す人が参加者の半分以上であれば、キューを出す人が勝ちとなるため、一挙に勝者が半数にまで絞り込まれ、これまでのじゃんけんよりもはやく勝敗が決する。
 しかし、キューゲームには難点も存在する。それは、参加者が多いほど、キューを出す者の数が多くなる可能性が高まり、参加者が他の3つの選択肢を取らなくなるということになり、単純な多数決の票を取るという、数取りのゲームになる点である。キューゲームは、多数決の原理にもとづくため、旧来のじゃんけんとは異なったゲームの展開がなされ、旧来のじゃんけんとは異質な性質を帯びることから、旧来のじゃんけんゲームとの連続性が失われる点において、まったく新しいゲームを行うことの意義が問われることに問題があると考える。(970字)


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