2017 東京学芸大学 A類家庭専修 B類家庭専攻 小論文 模範解答

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 選択的夫婦別姓制度の導入によって生じるメリットとデメリットについて、日本における慣習や文化的側面から考えてみたい。
 まず、選択的夫婦別姓制度の導入によって生じるメリットとして、夫婦別姓を選択することによって、個人が尊重され、自己喪失感を感じることがない点が考えられる。というのも、生まれて結婚するまで旧姓で生きてきたことから、急に氏を変更することに対し違和感や嫌悪感を持つ人もいると考えられるからだ。したがって、夫婦別姓であれば、姓が変わらないため、数十年自分の名前で生きてきたこそある「個人」を尊重でき、名前が変わったことに対する自己喪失感も生じないと考える。
 他方で、選択的夫婦別姓制度の導入によって生じるデメリットは、これまでのような日本的家族観が失われる可能性があることが考えられる。なぜなら、夫婦別姓を選択した場合に、家族が皆同じ姓であるという、夫婦や家族の「絆」や「一体感」が希薄になることが考えられるからだ。さらに、夫婦別姓によって、家族が家族であることの証が失われたり、夫婦の子どもが両親のいずれの姓を名乗るか等の選択の問題も出てくると考えられる。
 以上のようなメリットやデメリットを鑑みたうえで、私は選択的夫婦別姓制度の導入には賛成したいと考える。なぜなら、特別な理由がない限り、これまで結婚後、慣習的に女性の姓を配偶者に合わせて変更することが前提とされてきたことは、女性の地位がいまだ認められていないことの一つの象徴だと考えるからだ。つまり、男女同権が叫ばれて久しく、近年は女性の社会進出の促進がますます望まれる時代において、女性が半ば暗黙の了解のもとに自身の姓を配偶者のものに変更することは、女性の意志や考え方が尊重されていない事態だと言える。したがって、姓を変えることも、変えないことも男女がともに選択することができる選択的夫婦別姓制度を導入することによって、今後、女性の意志も反映された婚姻関係が実現できると考える。以上より、選択的夫婦別姓制度に賛成する。(838字)




 グラフからは、1960年代以降、石けんに代わり、粉末合成洗剤の生産量が上昇し、生産の中心となったことがわかる。しかし、1970年代に生じた二度のオイルショックにより、生産量の減少が見られる。とはいえ、粉末合成洗剤が生産の中心となる状況は2000年まで続くことがわかる。ところが、2000年以降は液体合成洗剤の生産量が急激に上昇し、2010年には、粉末合成洗剤の生産量を上回るようになることがわかる。衣料用合成洗剤の使用量については、年代を経るごとに減少傾向にあることが読み取れる。



 それまでたらいや桶において洗濯板を用いて洗濯をしていた主婦の洗濯は、戦後、家電における三種の神器と呼ばれた洗濯機の普及により、家庭での衣類の洗濯は自動化が進んだと言える。というのも、1960年代以降、洗濯機にて用いられる粉末合成洗剤の生産量が上がったことが証左となるからだ。
 この粉末合成洗剤は、1987年の劇的な衣料用合成洗剤の標準使用量の低下に表れているとおり、洗剤のコンパクト化が始まり、1987年には25g洗剤が出現し、1996年には15gとなる。こうした洗剤のコンパクト化は、かつては洗剤の輸送効率が悪かったことや、保管、販売時に大きな場所を占めるばかりでなく、消費者にとっては購入時に持ち帰るのに大きくて不便であり、また、持ち帰っても洗濯機のまわりに大きな場所を占めるといった欠点を克服するものであったと考える。したがって、1970年代から2000年までの家庭における衣料の洗濯は、洗剤のコンパクト化により、より簡便なものになり、洗剤使用量の低下は、家庭での衣料の洗濯においても環境に配慮したものになったこともうかがえる。
 さらに、2000年以降の液体合成洗剤の生産量の上昇の原因として、洗剤の液体化により、すすぎが1回でよい洗剤の仕組みが確立され、洗濯にかかる水の量の節約だけでなく、すすぎが1回になることで洗濯時間の短縮が可能になったという利点が挙げられる。したがって、家庭での衣類の洗濯の簡便化がさらに促進されたと考えられる。


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