2013年度 慶應義塾大学 経済学部 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」



設問A.
両社説における見解の相違点は、原発の再稼働に対する評価である。朝日新聞では、原発再稼働に否定的であり、原発を無くしていくことを主張する。他方で、日本経済新聞は、首相による原発再稼働の決断を評価し、国民生活や経済への影響を勘案し、原発再稼働に対する総合的判断を行うことを主張する。両社説の共通点は、原子力規制員会の人選を重要視する点である。両紙ともに、適切な人材の確保が必要であることを訴えている。(198字)



設問B. 

福島の原発事故において被災し、放射能汚染の危険性や核廃棄物処理などの問題に直面させられている国民がいる。こうした経験を持つ国民の考え方や感情を斟酌せず、経済的、政治的な理由によって原発を再稼働することは、被災した国民を蔑ろにしていると考え、反対する。しかし、被災した国民に対しては補償制度を設けて、誠心から対応することができる。したがって、原発再稼働の可否については、現実的な国民生活、経済を考えたうえで必要となる議論であるという意味で補償の問題とは異なり、国民を蔑ろにしているとは言えないという批判が挙げられる。この対立を乗り越えるためには、両者の見解がともに国民やその生活に配慮しようとする観点を持つ点に注目する必要がある。というのも、この共通点にしたがい、原子力発電所の再稼働の可否について、広く国民の利益に適うのはどのような選択なのかという点についてさらに議論することができると考えるからだ。(400字)

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