2018 早稲田大学 スポーツ科学部 自己推薦入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 スポーツ推薦の廃止が主張される理由として、スポーツに特化した活動を行なってきた学生は十分な学力や学びの素養を備えておらず、入学後、大学での学びにおいて支障をきたすという学業への不適応の問題が挙げられる。たとえば、スポーツ推薦合格者の中には四年間で卒業できない学生もいるようである。また、スポーツにおける業績や成果を主たる評価対象とするスポーツ推薦は、そのスポーツ業績に依拠し、生徒の高校までの学業における評価に対して目をつむる傾向があることも否めない。以上のようなスポーツ推薦ならびにスポーツ推薦合格者への批判にもとづいた、スポーツ推薦の廃止の声に対して、反論を試みたい。
 まず、スポーツ推薦合格者の大学における学業への不適応の問題については、スポーツ推薦入試の合格から入学までには期間があることから、高校までの学習内容や入学後に必要な学習能力を身につけてもらうために、大学側も一定の課題を課すなどの対策を講じることで、この問題を解消できると考える。また、スポーツ推薦における選抜評価についても、スポーツ競技の実績を評価することは、高校までの取り組みを評価することであるため、推薦入試の趣旨に反していないと考え、スポーツ推薦廃止のための批判は当たらないと考える。さらに、高校までの学業成績評価については、評定平均値について一定の要件を定めるなどして、スポーツ推薦における評価を厳密に規定することによって、スポーツ推薦廃止の事由となることを回避することが可能である。
加えて、大学における学生の多様性の観点から、スポーツに秀でた学生の存在は大学にとっても有益であると言える。というのも、アスリート学生の活躍は、他の学生にとっても刺激となると考えるからだ。したがって、優秀なスポーツ選手の門戸となるスポーツ推薦は廃止するべきではないといえる。
 また、どれほど優秀なスポーツ選手であっても、いずれ引退の時期が来る。その際に、問題となるのは、スポーツ選手のセカンドキャリアである。したがって、競技生活の引退後も社会のなかで活躍できる人材を育てるべく、大学はアスリート学生に対して、競技活動と並行して身につけておくべき専門知や学問的知識を備えさせ、スポーツ選手の人生を支えるという社会的義務を果たすためにもスポーツ推薦は実施されるべきだと考える。
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