樹木医が聴診器で何を聴く?
お医者さんといえば聴診器を首から下げているイメージありませんか?聴診器は胸の音(呼吸音や心音)などを聴くための道具です。
樹木医に憧れていた大学生時代、とある山で団体と遭遇し聴診器を木に当てているガイドさん風の方がインタープリテーションをしていました。
その方は「この樹木が水を吸っている音が聞こえます」と言い、参加者に聴診器で樹木の水を吸っている音を聞かせていました。
参加者は「これが水を吸っている音なんだ!」と喜んでいました。
私はそんなこと思ってもみなかったので、マジか!?かっこいいな!と思いましたが、本当に聴こえるかは半信半疑でした。
勉強した今となっては樹木の生理的に音が聞こえる事はない、ゴクゴク水を飲んでいるわけがなく毛管現象で吸い上げているので水を吸い上げる音はしません。
ではなぜ音がしたのか。それはわかりませんが推測として以下が挙げられます。
樹木の枝が擦れる音、聴診器が硬いものに当たってズレる音や樹皮と聴診器の間にできる空間のを通る風の音、そのくらいだと思います。
樹木医になってからは樹木に聴診器当てているやつは偽の樹木医だと思っていました。
しかし、樹木医になって3年、なんとこの私が聴診器を買おうか悩みます!!笑
なぜか。。。
率直に樹木医として使えると思ったからです。
私は昆虫が好きで樹木医の仲間からも虫害について相談を受けます。特に穿孔性昆虫(せんこうせいこんちゅう)に関する事が多いです。
簡単にいうと樹木の幹や枝の中で材を餌として食い進む虫のことです(テッポウムシとか言われてます)。
そこで、樹木の中を幼虫が齧る音を聞くことで樹皮の下のどの位置に幼虫がいるかと言うのが重要になってきます(針を刺しての駆除方法という地道なものもありますし、穴を開けて薬剤を入れることもあります)。
その位置を特定するのに聴診器が使えるのでは?と思い、欲しくなりました。
中には普通に木の近くにいるだけでカチカチ食い進む音が聞こえる種類もいるので、樹木の持ち主の方は不安で仕方ありません。
ということで今日はチッ、キキッと音のするトラフカミキリと思われる幼虫の摂食音を聞いてみましょう。
先にYouTubeに載せているので、聞いてみてください。さて皆さんには聞こえますか?
↓YouTube初投稿ですので、つまらないと思いますが木になる方は見てみてください。
https://youtu.be/Cdh5BgF7M-c
ちなみに下の写真は駆除したトラフカミキリの成虫です。
一応標本にしています。
害虫ですが、かっこよくて好きな昆虫です。スズメバチに似ていませんか?
またの機会に昆虫の擬態の話をしましょうか!ちょっと樹木関係ないな〜笑
ではまた〜
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?