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アジアの就学困難なこどもを支援する国際里親制度「ダルニー奨学金」。 トークンペイメント「Pollet」を通じて寄付してみるという体験とは?

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1987年。公益財団法人民際センターの現理事長である秋尾晃正さんはタイのとある地域を訪れていた。幼い少女を膝にのせたある村人と会話する機会があったという。
「このあたりはタイの中でも最も貧しい地域の一つ。こどもはたいてい小学校を卒業するとすぐに働くようになる。この子のようにね」。
秋尾さんは帰国後、教育を受けることが困難な状況にあるこどもへの支援を呼びかける活動を始める。その名は「ダルニー奨学金」。「ダルニー」とは村人の膝にのっていた少女の名である。

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-1対1で「つながる」- ダルニー奨学金

「ダルニー奨学金」とは、貧困などにより就学が困難なアジアのこどもたちの支援するために公益財団法人民際センターがおこなっている活動の名称である。タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーの5カ国の主に中学教育が受けられないこどもが対象となる。
基本的には1年1口1万4400円、すなわち1日あたり約40円、月1200円の寄付により、1人のこどもの1年間の就学を支えるものだ。寄付金は対象となったこどもの学費や制服などの学用品の購入などに充てられる。ダルニー奨学金の最大の特長は「自分がした寄付は具体的に誰の支援に充てられているかがはっきりしている」という点にある。

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1口以上の寄付した人には、1年に2回、奨学金の支給対象となったこどものプロフィールが写真つきで送られる。支援者は、支給対象者の年齢や身長、家族構成などをそのプロフィールから知ることができる。「カンボジアのコンポントム州に住んでいる中学1年のA君は、今日も元気に学校に通って、帰宅後はお父さんBさん、お母さんCさんの農作業を手伝っているんだろうなあ。弟のD君とは仲良くしてるかなあ。私の支援が役立っているなら嬉しいなあ」。ダルニー奨学金に参加した方はこのような想像をする毎日を体験をしているというのだ。ダルニー奨学金は「1対1の見える支援」である。
コースは3つ。「継続支援コース」「入学~卒業までコース」「1年のみコース」。「継続支援コース」は1人の支給対象者の入学から卒業までを複数年に渡って支えるもので、対象者の卒業後は別のこどもの支援を継続していくというものだ(タイとカンボジアは卒業まで3年、ラオス・ミャンマー・ベトナムは4年が1サイクルとなる)。「入学~卒業までコース」は1サイクルを一活で支援をするコース。「1年のみコース」は1年間の期間限定での寄付となる。いずれのコースでも写真付きプロフィールの提供が行われ「1対1の見える支援」が約束される。
聞けばほとんどの支援者が「継続支援コース」もしくは「入学~卒業までコース」を選択なさっているという。つまりこういうことだ。前述したように、支援者には1年に2回、写真付きプロフィールが届く。例に挙げたA君の支援者は、支給対象者が成長していく姿を複数年に渡って見守ることになる。徐々に身長が伸び体重が増えていっている様子、だんだん大人っぽくなっていく様子、そういった極めてリアルな状況までもが共有されることになる。
1987年の発足から30余年。延べ3万7000人以上の方から寄付が寄せられ、延べ41万3600人以上(2020年5月時点)のこどもの中学就学支援を実現してきた。それがダルニー奨学金である。

なぜPolletがダルニー奨学金を応援するのか

さまざまなポイントや使い道のない余った商品券などの小口資産を、1つにまとめてチャージし、ネットショッピングの支払いなどに充てることができるようにするという新サービス「Pollet」。そのPolletが2021年2月よりダルニー奨学金への協力を始めると聞いた。
前述したようにPolletはまとめてチャージしたものを支払などに充てていただくことにその価値がある。一方で、バラバラに貯まっていてほぼ使い道のない各種のポイントや、それぞれ数百円分で余った金券や商品券など、仕組み仕方がないと思っていた“「無駄」や「廃棄」などを解消し再生していく”ことにも価値を発揮している。
ダルニー奨学金も “「格差」や「理不尽」などを解消し再生していく”という価値を有していると言えると思う。Polletとダルニー奨学金に共通するもの。Polletが協力する理由もそのあたりにあるのではないか。

Polletを運営するオズビジョングループの公式ライターが、ダルニー奨学金を運営する公益財団法人の事務局長である南谷勝典さんにお話を伺った。

Polletのダルニー奨学金への協力内容の概要

1. Polletにチャージした残高からダルニー奨学金に1口以上を寄付いただく(例:あるユーザー様が2021年2月26日に1口1万1440円を寄付)

2. 各月ごとにPolletからダルニー奨学金に寄付がなされた総額をPolletが集計する(例:2021年2月は合計20口、総額22万8000円となった)


3. 翌月末日までに各月の総額の1%をPolletがダルニー奨学金に寄付させていただく(例:22万8000円×1%=2280円をPolletが寄付させていただくこととなった)

「日本のお父さんを結婚式に」

オズビジョン公式ライター(以下「公式」):今回ご縁をいただきダルニー奨学金について勉強させていただいたのですが、極めてリアルで強固な「つながり」が実現していることに驚きました。
民際センター 事務局長 南谷勝典さん(以下「南谷」):1987年の発足以降30余年、延べ3万7000人以上の方に寄付をいただいています。そのうち30年以上継続して寄付いただいている方は257人いらっしゃいます。

ご存知のようにダルニー奨学金に参加いただくと、1年に2回、支給対象となったこどものプロフィールを写真付きで受け取っていただくことができます。また多くの方が継続コースなどの複数年に渡る支援をご選択なさっているので、おっしゃるようにA君の例のように成長を共有したりするなどの「つながり」を感じていただくこともあると思います。
「つながり」という意味では私たちはこの30余年の活動を通じて多くのストーリーに出会ってきました。たとえば、ご両親のいないこどもがダルニー奨学金を得て無事学業を修め、社会に出て、やがて結婚をすることになった。そのときその子は私たちの現地事務所にある依頼をしてきたんですね。「私を支援し育ててくれた私の父親である日本の支援者をぜひ結婚式に招きたいので連絡して欲しい」と。その支援者の方は実際に現地に赴き結婚式にお立合いになりました。このような強固な人と人との「つながり」を生むこともある「1対1の見える支援」であるという点に共感をいただいているからこそ今日にまで至っているとのだと思います。

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“教育”を扱う重要性と難しさ

公式:食料品や衣料などの直接的な物資などの支援も大切だが、就学や教育、あるいは地域産業の振興など中長期的な支援が、長い目で見ると非常に重要であると感じました。
南谷:たとえば自然災害が発生したり紛争が起こったりした時には、速やかに大量の物資などを支援することなどが必要となります。このようなケースには、マスを対象にした幅広い募金活動などが向いていると思います。
一方でSDGsをはじめとする未来や夢の実現、あるいは不平等や不具合の解消、世界平和といったテーマについては、ダルニー奨学金などが適しているのではないかと感じます。
短期でマスだからダメ、中長期でピンポイントだからから良い、という単純な区別でなく、目的に対して適性の合う支援を選択していただけるようになっていることが大切だと思います。寄付する方ご自身が「貢献できている」という実感を持てるかどうかが何より重要ではないでしょうか。
公式:ダルニー奨学金の場合、その実感とは「就学困難なこどもが“教育”を受けることができるようになった。それが未来における本人の幸福、あるいは地域の発展につながる。それはいつか貧困や不平等の解消へと続く」ということになりますか。
南谷:その通りです。それこそダルニー奨学金が目指すところであり、“教育”からはじめていっている原点となります。
ただ教育といっても非常に奥が深いんですね。たとえばダルニー奨学金の対象国である5カ国では、毎日20km歩いて学校に通わなければならない、といったケースもあります。そうなると、自転車などの移動手段の確保が必要だね、という話になります。ところが「その通学路とは未舗装どころか荒れ果てたとても道とは言えないものなのだが?」という問題に突き当たったりする。こうなると何よりも道路整備が大事だ、という話になる。
まだあります。対象国の地域によっては、少数民族が支援対象となる場合もあります。時には現地語しか話せないこどももいるわけです。その場合は教師の育成がまず必要になります。教師に現地語を身に着けてもらうか、現地語を話せる人を教師として育成するか、という。
このように教育というのは、突き詰めていくと、非常に多岐に渡って捉える必要がある分野であることがわかります。ダルニー奨学金も含めて、さまざまな国際協力団体の活動と協働して取り組んでいくことが求められています。

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コロナ禍のいまこそダルニー奨学金が求められる

公式:2021年2月現在、世界的なコロナ禍により、人と人とのつながりの分断が加速し、心を疲弊させている方が多くなっているように感じています。一方でダルニー奨学金の特長を表す言葉の1つに「つながり」があると。今と今からの世界においてダルニー奨学金が持つ精神は、ますます必要とされていくのはないかと思います。
南谷:支援対象の5カ国でも新型コロナウィルスの感染拡大における影響は非常に大きなものとなっています。特に経済面での打撃が著しい。経済の低迷による影響が弱い人に容赦なくのしかかっている。大人が解雇されたり出稼ぎに行けなくなったりするのと同時並行で児童労働が顕著に増加したりしています。事実、支援していたこどもがどこにいるのか急にわからなくなったりすることも起こっています。またミャンマーでは去年(2020年)の6月からこどもたちは学校に行けていないんですね。日本ではほとんど報道されていないんですが。
コロナ禍によって、こどもの教育にという面は悪化していると断言できます。これを食い止めていくためにも、今こそダルニー奨学金が必要とされていると感じています。

最新技術がダルニー奨学金の明日を変える

公式:最後に、今後「寄付」などの社会貢献活動への参加がどのように変化についてお伺いします。5G、AIなど技術の進展が加速し、高性能のスマホを多くの方が所有する時代です。いつでもどこからでも寄付のような行動をすることが可能であり、またその行動をSNSで広く拡散させることもできます。そのような状況において社会貢献活動への参加の仕方はどのように変化していくとお考えですか。またどう変化していって欲しいとお望みでしょうか。
南谷:社会貢献活動を遡ると、古くは富裕層など限られた層が慈善行為として行うものだったといえると思います。
その構造を根底から変えたのがインターネットをはじめとする技術の台頭です。さまざまな課題や問題が、またたくまに個人に伝達され、多種多様で手軽な支援活動が立ち上がる。リアルな画像はもちろん場合によっては動画で呼びかけがなされる。この著しい「見える化」の進展により、それぞれの活動にたいして「これは意義のある活動だと私は思う」「私はこちらの活動の方を応援したい」とそれぞれの方がそれぞれの意志で参加するか否かを決めているといった時代だと思います。
ぜひ今後は若い方々が「私はこれに共感した」「私はこれに」というように、これまでの寄付が持つイメージに囚われずに、気軽に参加していただけるようになっていって欲しいと思います。そんな「新しい寄付文化」を若い世代の方々がデザインしていっていただけるとよいのではないかと。今回、Polletを通じてダルニー奨学金を知る方も多いと思いますが、そのようにこれまでとは違ったルートでダルニー奨学金に接していただき、共感していただけたならぜひ寄付をしていただき、そのお気持ちをSNSなどで発信いただくことで、さらにダルニー奨学金の存在を知っていただくことにつながる。そんなふうになれば本当にうれしく思います。

ダルニー奨学金を運営する民際センター。「民際」とは聞きなれない言葉である。
「際」を含んだ単語として誰もが思いつくものに「国際」がある。たとえば「国が国を支援する」場合には「国際支援」と言われる。それに対して「民と民を結び付ける貢献」の重要性に集中し、「民際」すなわち「民際貢献」に自身たちを捧げるがゆえに「民際センター」を名乗っている。
南谷事務局長は教えて下さった。「民際センターが目指す究極のゴールは、貧困や格差などの理不尽や不都合を世界から無くしていくこと」だと。

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前述のとおりPolletの存在意義の1つに「バラバラに貯まっていてほぼ使い道のない各種のポイントや、それぞれ数百円分で余った金券や商品券など、仕組み上仕方がないと思っていた“「無駄」や「廃棄」などを解消し再生していく”」というものがある。このPolletの想いと民際センターの想いは、どこかで静かに「つながって」いるのかもしれない。今後Polletは、ダルニー奨学金以外にも、そのような「つながり」がありそうなプロジェクトに協力していくと聞いた。また新たな「つながり」が生まれたらぜひご紹介したいと思う。

(写真提供:公益財団法人民際センター)
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