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(基本解説013)「集団的自衛権」という言葉を理解しておこう

(政治や法律の基本解説)
(3分で読める)




これまで日本は「集団的自衛権はあるが
行使しない」という立場をとってきた

しかし、2015年に法改正して
他国のために出動できるようになる





ふたつの自衛権

 教科書通りにいうと、自衛権はふたつに分けられます。自国が攻撃されたときに防衛する権利を「個別的自衛権」、自国と密接な関係のある他国が攻撃されたときに共に防衛する権利が「集団的自衛権」です。友だちとふたりで歩いていたら誰かが、友だちに殴りかかってきたとき、その友だちと一緒に戦おうとするケースのイメージです。

集団的自衛権を一部認める法改正

 戦後しばらく、日本が自衛権をもつことの是非が論議されていました。とくに「集団的自衛権」については、これを認めると、たとえばアメリカがイランと戦争を始めた場合、アメリカを助けるためにイランと戦うことになるかもしれない。この集団的自衛権を認めることになると、それが可能になります。ところが、日本は憲法第9条で戦争放棄を掲げているので現実にはその権利を行使できないことになります。それで日本は従来「集団的自衛権は持っているが行使しない」という姿勢をとってきました。しかし、2015年に集団的自衛権の行使を一部認める法改正が行われ、日本の自衛隊は、ある条件の下では他国のために出動できることになったのです。

集団的自衛権の解釈

 ほかの国では、集団的自衛権をどう解釈しているのでしょうか。そもそも個別的、集団的という解釈の分け方はあまりしません。一国で行使したら個別的自衛権で、仲間と一緒に行使したら集団的自衛権というだけのことです。同盟国がいるという時点で集団的自衛権となるのが前提になります。

基地提供は集団的自衛権

 じつは、日本は集団的自衛権をすでに行使している状態です。日米安保条約を締結していること自体が、集団的自衛権の行使にほかならないし、そもそも基地を提供しているだけでも集団的自衛権ということになります。世界中で、ほかの国の軍隊をこれだけ堂々と自国に駐留させているのは日本ぐらいですね。日本は世界で最も集団的自衛権を行使している国とも言えます。

ベトナムから見たら日本は敵国

 日本はアメリカの同盟国として国内に基地を提供しており、朝鮮戦争、ベトナム戦争では、その基地から交戦国へとアメリカの爆撃機が飛び立っています。つまり、たとえばベトナム戦争時のベトナムから見たら、日本は敵国になります。自分に毒ガスや爆弾を撒きに来る国に基地を提供しているのですから、敵国なのは当然の解釈です。

資金提供も集団的自衛権の行使

 湾岸戦争でも、「日本は資金提供をしただけで戦争には加担していない」という意見が保守などからあがりましたが、資金提供をしている時点で、日本は集団的自衛権を行使して米軍の同盟国として参戦していることになります。資金援助で戦争を継続できています。敵国に資金援助をする国は、交戦国と同じですし、それ以前に敵国と同盟条約を結んだ国は交戦国なのです。


 参考文献
『政治のことよくわからない社会人になった人へ』 池上彰 海竜社
『軍国主義が日本を救う』 倉山満 徳間書店
など



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