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『風のベーコンサンド』を読んで

東京での仕事を辞め、今は寂れつつある高原でカフェをはじめた菜穂。
うまくいかないこともあるけれど、美味しいものは人を笑顔にする。
たくさんの美味しい料理が出てくるお話でした。

美味しい料理。ある人にとっては、それは高級なレストランで有名なシェフが高価な食材を使って作る料理かもしれない。でもある人にとっては小さい時にお母さんが作ってくれた甘いカレーかもしれない。レストランの料理は間違いなく美味しいはずなんだけれど、作ってくれた人の顔が見えて、心がこもっているものには敵わない。
それは食事をした時の一瞬の美味しさだけを追求していないからでは…と感じた。家族に出す料理であれば、美味しいものである必要もあるけれど、化学調味料をたくさん使わないものがいいし、体のことを考えて少しでもヘルシーなものにしたい。口に入れた時の美味しさだけでなくて、これから長く続く生活をより健康に、より豊かに生きてほしいという思いまでもが込められているからではないのかな。

小説の主人公である菜穂さんが、カフェで提供している料理もまさに家族に出すような料理。けれどとても丁寧な仕事をされているので、家庭でマネするにはちょっと大変そう。地元の安全で新鮮な食材を使って、丁寧に調理する。食べる人の心も体も満たしてくれそうな料理。たまにはレストランの食事もいいけれど、毎日食べたいのは菜穂さんのような料理。家庭でも出来そうで、出来なさそうなちょうどいい料理。

実際にこんな素敵なカフェがあったら、食べに行きたいなぁと思わせてくれる本でした。


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