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『今度君に逢えたら』を読んで

主人公の麻由美の父親は、彼女が産まれる前に亡くなっていた。
「父に一目でいいから会いたい」
ある日、麻由美は自分にはタイムリープできる能力があると知る。
その能力を使い、過去を変え、父親と会えることはできるのだろうか。

タイムリープと聞いて、思い出したのは『シュタインズゲート』

ゲームが原作のアニメなのだが、中二病の主人公がタイムマシンの機能を持つ装置を発明してしまい、世界線が変わっていくお話。主人公はタイムリープを繰り返し、ある女の子を助けようとする。

このアニメは本当に素晴らしかった。これを見るまで、アニメというものはジブリ映画くらいしか見てこなかったのだが、このアニメを見て、登場するキャラの豊さやストーリーの展開に感動し、それ以来いろんなアニメを見るようになった。

小説の中でも、このアニメの中でも主人公たちは、何度もタイムリープを繰り返し、過去を変えることで、未来が変わることを望んでいる。
過去に戻れたら…誰もが一度は考えたことがあるはず。わたしも。でも過去に間違った選択をしたように見えても、その経験はきっと無駄にはならないはずだし、失敗した、悲しかった、変えてしまいたい過去はその人だけが持っている特別な経験になり、特別な力にもなり得る。

このお話の中で

「人生はやり直しができないからこそ、今を必死に生きるし、未来を夢見るからこそ、そこに向かって頑張れる。こんな能力は無い方が幸せかもしれんなぁ」

という主人公のおじいちゃんの言葉がある。

もし過去を変え、すべてが自分の思い通りの人生になったら。
果たしてその人生は、楽しいのだろうか。幸せなのだろうか。

当たり前の日常は、実は奇跡の連続。

主人公の麻由美は当たり前の日常が、たくさんの奇跡の上に成り立っていることを知る。

今、この世の中に存在していること自体が奇跡なんだと感じた。
当たり前の日常を大切にしたいと思えるような本だった。



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