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警察学校ってきついの?③(警察学校の着せ替え人形)

引き続き、警察学校の生活について話していきます。

警察学校できつかったのは不自由な日常生活、術科と呼ばれる柔道、剣道等、ランニングのノルマ、着せ替え人形、食事です。

不自由な日常生活については前回までにお話した通りです。

柔道、剣道、逮捕術等も厳しい指導を受けます。それは学校の体育とは全く異なる「訓練」です。体力的なきつさについては個人差がかなりあると思うので長々とは書きませんが、学生時代帰宅部だった自分にとっては地獄でした。

次はランニングのノルマです。私の県の警察学校では時間外にランニングを1か月50㎞以上しなければならいというルールがありました。放課後や週末に学校の周りを走って、走った距離を毎日簿冊に記入していきます。1周1㎞で計算します。

1か月50㎞だと普通一日あたり、2㎞くらい走れば十分だという計算になりますよね?一部の同期もそう考えていました。そして51㎞とか52㎞を走ってノルマを達成するわけです。

しかし、そんな連中(私を含め)は1人ずつ呼び出され、人格否定レベルで教官に怒鳴り散らされます。「50㎞と言われたら、最低でも70㎞くらい走るのが普通だ!お前はなめている。」という有難いお話でした。最低限しかやらない奴はやる気がない、というのです。

最低ラインを設定して、後で攻撃してくるというのはこの後も多々ありました。警察学校の常套手段です。

次は着せ替え人形です。警察官はいろいろな服を着ます。剣道の時は剣道着、逮捕術の時は柔道着、法律の授業では制服、けん銃の授業では活動服(交番のおまわりさんが着ている上着が活動服です。制服とは長さが少し違います。)、部隊活動では出動服にブーツといった具合です。

1日には当然いくつもの授業があります。授業の合間の休憩時間は10分です。その10分の間に毎回、別の服に着替えるのです。しかし服は全て寮にあります。しかも授業する棟と寮は500メートルくらい離れているのです。

つまり1つ目の授業が終わるとダッシュで寮へ戻り、着替えて再びダッシュで次の教場や道場等へ授業開始前に到着し、更に整列していなければならないのです。

一人でも遅れると警察組織の好きな連帯責任が発動されます。部屋員8人または班員40名の連帯責任となり、反省文や今後の改善策の提出を求められます。特に大変だったのが剣道です。剣道着は着るのに時間がかかります。いつも柔道の連中が羨ましかったですね。

夏はひどかったです。例えば逮捕術をやった後、制服に着替えます。そして次に教場で法律科目を受けるとします。移動は全てダッシュです。そもそも逮捕術の直後だから、そう、汗が止まらないんです。見る見るうちに皆の制服が汗で濡れていくのが制服の上からでもわかります。着心地最悪ですが耐えるしかありません。

この目まぐるしい着せ替え人形の日々にも不思議と慣れていきます。いや慣れるというより対応しようとし始めます。

前日寝る前、ブーツのチャックを開けておく、ネクタイは結んでおく、次の日の授業の順番を考えて、ロッカーの中の服や備品の置く場所や取る順番をイメージ、シミュレーションします。ズボンは手に取った瞬間履きやすい形に広がるように置いたりして1秒でも短縮できるように工夫します。でもやっぱりいつもギリギリでしたね。
(警察学校ってきついの?④に続く)


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