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なんですぐ警察が来るんだよ!?(酒気帯び運転編)

当直中、市民の方から通報がたくさん入ります。実はその中には警察官にとって非常にありがたい通報もあります。

滅多にないんですが、そういうことをしてくださる方もいるんですね。

私が当直中に来たのは「◯◯スーパーの駐車場、車の中で酒を飲んでいる中年男性がいる。これから運転するかもしれない。車のナンバーは◯◯。」という通報でした。

近くで見ていた方が通報をくれたわけです。

私の交番のの管内だったんですが、この無線の指令というのは全署員が聞いています。ですから隣り合った交番の勤務員や自ら隊(署のデカパト)が一斉に「現場方向へ向かう。」との無線を入れてそ、のスーパーへ4、5台が殺到します

何故そんなに酒気帯び運転を検挙したいかというと勤務評定です。その月の時間外手当が1,2万増えます。

酒気帯び検挙1件は普通の1件とは重さが違います。滅多にないからです。私は交番を3年半やりましたが3回しか関わっていません。この時以外は交通事故の時だけです。

そんなわけで検挙に関われる可能性のある人はスーパーへ殺到するわけです。現着1位の人が1件もらうか、2位の人と分けて0.5件ずつにするかです。この辺は署員同士の力関係や譲り合いですね。

ありがたいことに通報者はこの中年男性をずっと見ているようで続報が入って来ます。「今1本飲み終えた。2本目を飲み始めた。」

私の上司(年齢50代)がミニパトの緊急走行でぶっ飛ばします。続報が入ります。「車が動き始めた。駐車場を出て行く。」

その1,2分後自ら隊の無線が入ります。「当該車両を停止させて職質中。これより飲酒検知始めます。どうぞ。」

速い、さすがデカパト(車種はクラウン)!

しかし、まだ2着が残されています。間に合いました!
私の上司は、自ら隊の飲酒検知管を使わせず我々の交番の飲酒検知管で飲酒検知します。

関わる作業を無理矢理ねじ込んで0.5件をもぎ取る魂胆が見え見えです。
自ら隊の二人は20代なので50代の私の上司には何も言えません。

無事に現行犯逮捕して0.5件をもらうことができました。
ちなみに、この酒気帯び運転は以前は現行犯逮捕したり、在宅送致だったりまちまちだったそうですが、今は逮捕が主流です。飲酒しての運転で悲惨な事故がたくさん起きていますからね。

ところでこの被疑者は逮捕の時、「何で俺が運転し始めたらすぐ警察が来るんだ!おかしくないか!?」と言っていました。

いや、気持ちは分かりますよ。不思議で仕方ないですよね。もし自分が同じ立場でもそう思うはずです。

上司は一言。

「うるせぇこの野郎、酒飲んで運転するな!」

こんなにあっさり終わらせなくても。もうちょっとやりとりしても面白かったのになぁ(笑)

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