東京大学の変な留年システム ~杉浦君は留年していない!?~

先日、理科三類の東大生がコロナ罹患による不利が考慮されず留年したとして東京大学を提訴するなど、何かと話題の東大の留年事情。

東京大学の留年の仕組みは実は複雑で、誤解されている部分も多いように感じています。そこで何を隠そう当該学生と同じく昨年度2年生での留年を経験した小生がその仕組みをひも解いていこうと思います。

杉浦君は留年していない!?タイムリープの謎

これだけ大騒ぎしてる杉浦君が留年していない!?というと驚かれるかもしれませんが、実は彼がしてしまったのは留年ではなく降年というものなのです。そして昨日までは2年生だった彼は今日の成績発表をもって1年生になってしまったのです!
これはどういうことなのか、詳しく解説していきます。

東大生を阻む2つの関門と3度の留年チャンス

3月10日……東京大学の合格発表の日であり、毎年約3000人が期待に胸をふくらませ、理科・文科それぞれ3つの科類に分かれ東京大学の学生になります。そんな彼・彼女らが最初に熟読するのが履修の手引きです。この履修の手引きは必修授業や必要単位数など、進級にまつわるすべてが書いてある東大生のバイブルです。これを読むと東京大学生活前半の2年2つのチェックポイントがあることがわかります。
1つ目は2年生の8月、2つ目が2年生の3月です。
そうなんです。1年生から自動で進級するんです。この不思議なシステムには進振りという制度が大きくかかわっています。

東大生の敵!第一の関門「進振り」とは

東大に興味がない人からすると耳慣れない言葉ですよね、「進振り」。変換もうまくいきません。ざっくり言ってしまうと文理6つの科類の東大2年生たちが数十の学科から「3年生からの進路を選ぶ」制度なのですが、ここに様々な制約があります。

①各学科には定員があり、成績が悪いと希望の学科に進めないこともある。
受験の後も東大生は競争の世界に投じられるわけです。人気の学科だと倍率は入試よりも高くなり、東大生の上位数%でなければ入れないこともあります。しかし基本的にはどこかの学科には拾われる仕組みであり、このせいで留年することはほぼありません。(自分の点数を上げるために自主的に留年する学生もいる)

既定の単位数、必修の単位を取得していないと参加できない。
こちらが今回杉浦君が陥った状態です。進振りの参加に必要な必修科目の単位をとることが出来ず、同級生が2年生の後期に進む中、学年が下がり、1年生の後期からやり直すことになりました。これを「降年」といいます。

まとめ


この他に2つ目の関門として、2年生から3年生に上がる際にも指定の単位数と必修科目を取得していないといけません。こちらは2年生から2年生なので留年という扱いになります。(小生はこちらです。)
まとめると
入学 1年生前期 1年生後期 (自主留年) 2年生前期 (進振り)(降年) 2年生後期 (留年) 
ということになります。

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