《ソトタマシイ》への道
修士論文の仕上げとしてピエール・ユイグの《ソトタマシイ》を見に行くべきだと考えた。2020年11月末、佐賀で企画協力した展覧会を訪問するタイミングなので、それにあわせて足を運んだ。
太宰府天満宮に向かう。
福岡空港に到着し、天神に移動、そこから西鉄に乗って二日市で乗り換え、実質的に参拝電車になっている太宰府線に乗り換える。その電車が滑り出した時、客殿跡の広大な広場が広がる。その瞬間、ここは太宰府の領域であり、参道であると悟った。思えば、西鉄天神駅から巡礼の道は始まっていたのかもしれない。
第三波のきざしとして連日のニュースを賑わせていた11月の終わり頃、人はまばらだったけれど参拝客はゼロじゃない。参道の店も営業しているところが多かったし、特徴的なスタバは、記念撮影する人が列を作っていた。もっと大きな店舗だと思っていたのだけど、商店街の並びにあるお店、なんだかミニチュアみたい。
太宰府天満宮に入る。閉じ込められたライアン・ガンダーの作品を見た。昔は施錠されておらず、解放されていたらしい。
本殿にある梅の木、その脇を抜けていくと梅園があらわれる。献梅として、さまざまな梅の木が並んでおり、あと何ヶ月かすると、梅で咲き乱れるのだろうと想像する。このあたりの茶店は営業している所がなかった。
ようやくたどり着いた、この石段の上に《ソトタマシイ》がある。公開されていないのは知っていたので、ここまでで終わり。
麓のお石茶屋で一服する。
《ソトタマシイ》について聞いてみた。いろいろと話をしてくれた。石段を上がった先は禅寺があったこと、石段の脇の石塔には、酒を飲むものは石段を上がるべからずと書かれている事、そして、この石塔は元々あった禅寺とは関係がなかったという事。太宰府天満宮に寄贈された石塔が、どういった経緯か、この場所に建立されているという。
「ユイグさんがね、」といった語り口が、なんだか嬉しかった。
修士論文は今週提出する。
いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。