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《My Soul Train》小林由

東北芸術工科大学の東京選抜展で小林由さんの《My Soul Train》は、ダイナミズムがあった。

《My Soul Train》, ©︎小林由

当初はキャンバスを木枠からも拡張させたと捉えていたが、キャンバスは縫い合わされている。

《My Soul Train》(部分), ©︎小林由

ストリートのような空気感、キャンバスを構築しているというよりも、ストリートで遊ぶうちに、この形になった。というような印象を受けた。

グラフィティは、大学院の友人の研究テーマだった。

小林さんの作品は、ヒップホップのサンプリングから絵画制作をし、それを裁断して、ミシンでソーイングしている。自身の絵画を使ったコラージュのような技法に見えるが、出来上がった作品を見るとZINEの方がしっくりくる言い方だと思う。

《My Soul Train》(部分), ©︎小林由

ライターたちによって目の前で描かれる無数のタギング。彼らは街中を歩きながら本当にさりげなく、しかし確実に残る形で街の風景を変えていく。その素早い動きからは描く媒体を選んでいるのかさえ判断がつかない。描く様子の滑らかさ、無駄のない動きは夜の街を完全に征服しているように見えた。

「グラフィティの衝撃」note より

ヒップホップからのサンプリング、裁断してソーイング、できあがった形は、小林さんのストリートダンスの経験をも踏まえた街の構築のようである。

ミシンで縫合する。
縫合は即興的に行うことでダンスのリズムが生まれるとしている。糸をほどけば修正はできるが、過ぎ去ってしまったリズムは取り戻せない。
Train、電車を想定すると通常は後退しない。Trainは、"一連の"という意味も持つ、ミシンの縫合は連続性を注入しているのだろう。

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